落語家に学ぶ、人を惹きつけるコミュニケーションの極意
知られざる落語家の世界とは
落語の世界には厳しい身分制度がある。前座という修行の身分から始まり、4年程経つと二つ目に昇進。二つ目として10年程過ごした後、「師匠」と呼ばれる真打になる。
現在、二つ目として4年目になる竹千代さんだが、前座修行はとても大変だったという。前座の期間は、寄席勤めといい、毎日寄席に通い、1日も休みはない。お茶出しから着用後の着物を畳む作業まで、自分の師匠だけでなく、寄席に出るすべての師匠のお世話をしなければならない。
二つ目になると修行の身分から解放され、一人前とみなしてもらえ、いろんなところから呼んでもらえるようになる。
「会場としていいのは銭湯寄席ですね。噺がウケなくてもすぐに横で水に流せます」と笑いを交えて話す竹千代さんがいうように、呼んでもらえる場所は様々。一般的なホールだけでなく、変わったところだと、飲食店や葬祭会館などで噺をした経験もあるという。
落語の歴史、ジャンルと特徴的な表現方法
今では日本有数の伝統芸能となっている落語だが、室町時代に岐阜のお坊さんが普通に説法しても聞いてもらえないため、おもしろく話したことが落語の始まりといわれている。
落語は大きく分けると「古典落語」と「新作落語」の2つに分かれ、古典落語は江戸から明治、大正にかけて作られたものが、現在まで口承で伝えられている。現在演じられている古典落語だけで500~600程度あるといわれている。一方、新作落語はまさに現在作られているもので、噺の舞台も現代となっていることが多い。
また、落語には3つのジャンルがある。「滑稽話」という笑い話、感動させる「人情噺」、お化けのでてくる「怪談話」に分類される。
他の舞台芸能に比べ、圧倒的に少ない小道具で演じることができるのも落語の特徴だ。落語家は扇子と手拭のみを使って、なんでも表現する。
「例えば、扇子は口に当てて吹けばタバコとなり、拡げて読めば手紙に、閉じて口元に持って行きすすれば箸となります」と、竹千代さんは実演を交えて、わかりやすく教えてくれた。
落語家に学ぶ、人を惹きつけるコミュニケーションの極意
桂 竹千代
落語芸術協会所属の二ツ目。
明治大学大学院文学研究科古代日本文学専攻修士課程修了。大学在学中は漫才師として活動。大学院卒業後、桂竹丸門下 楽屋入り。
平成23年10月より前座「竹のこ」、平成27年に二ツ目昇進「竹千代」となる。
柔道弐段、学芸員、社会教育主事、温泉ソムリエなどの資格を有している。古代史を専攻した文学マスターで、日本神話の世界を語ることをライフワークとしている。
【公式サイト】落語家 桂 竹千代 http://katsuratakechiyo.club/
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