「地域」と「デザイン」の関係
地域性のあるデザインを求めて
2011年、3月11日。当時、東京でデザイナーとして活躍していた佐藤さんは東日本大震災発生時、偶然、故郷の福島にいた。その時の状況を佐藤さんは語ってくれた。
「震災発生後、様々な人たちが自分たちのスキルや経験を活かし、ボランティア活動をおこなっていました。そのなか自分はというと、デザイナーとしてのスキルが被災地ですぐに役に立つことができず悩んでいました」。
しかし、こうした経験を通して、改めて地域においてのデザインの価値を問うきっかけになったという。そして、その問いと向き合うため、2011年8月、佐藤さんは地元の福島県に戻り、ヘルベチカデザインを設立した。
「まずは現場に入り、体験すること」がヘルベチカデザインの仕事の始まりと話す佐藤さん。実際にヘルベチカデザインの仕事はグラフィックデザインにとどまらない。ワークショップや町おこしのイベント、ときには在来種のこんにゃく文化の再興など、地域文化継承のためのプロジェクトにも多く携わっている。佐藤さんは、こうした活動も地域をデザインしていくうえでは重要なインプットの場であるという。
「デザインには地域性があってもいいというか、あるべきです。そのためには、現場での体験を通したインプットが必要となってきます。そうしたインプットから、その地域やそこに住む人たちの“本質”を見極め、可視化させていくことがデザインの役割だと思っています」。
「地域」と「デザイン」の関係
佐藤 哲也
ヘルベチカデザイン株式会社 代表取締役。福島県郡山市を拠点に、ただモノを作るだけでなく、ストーリーをデザインして行くデザイン事務所「ヘルベチカデザイン」代表。6次化商品開発や地域ブランディングなど実績多数。日本財団HEROs AWARD2017受賞。JAGDA/ 日本デザイナーズ協会会員。
ヘルベチカデザイン株式会社
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