EVENT REPORT

Jun 2019

いま、イノベーションをあらためて考える
~イノベーション経営への挑戦~

「イノベーション」という言葉が日常的に使われるようになったビジネスシーンにおいて、その本質をこたえられる人はどれくらいいるだろうか。

 そうした疑問から今回のWAOでは、「いま、イノベーションをあらためて考える」をテーマにイベントを開催。“よい目的が知識社会、知識経済を動かす”を提唱した「目的工学」の第一人者である紺野登さんをお招きし、イノベーションの現状やイノベーションを起こすために必要なものはなにかを学んでいった。

企業を取り巻くイノベーションの現状

企業を取り巻くイノベーションの現状

企業を取り巻くイノベーションの現状

1980年代のものづくりの時代には、企業では品質経営や競争戦略が重視され、1990~2000年代はサービス、ソリューションの時代へとシフトしていった。そしてリーマンショック以降、顧客はこれまでにない価値提案を求めるようになり、いかにイノベーションを興して全く新しい価値を生み出せるかで企業の優位性が決まる時代になった。

そうしたなか、一般社団法人ジャパン・イノベーション・ネットワーク(以下JIN)は日本をよりイノベーティブな国に変えていくことを目的に2013年に設立された。JINの代表理事を務める紺野さんは、多くのデザイン経営やイノベーション経営の実践や啓蒙に携わってきた。

「新たな成長を生み出すためには、ただイノベーションを興すのではなく、いかにイノベーション経営に転換していくかがポイントです。アメリカや中国と比較すると、日本はバブル崩壊後の経済の伸びは今一つ。高齢化も含め根本的な国全体の力が失われてきている中では、企業が自社の利益を追求したところで売り上げにはつながりません。社会を変換する力が必要です」。

紺野さんが代表を務めるもう一つの一般社団法人Future Center Alliance Japan(FCAJ)が2014年に一般消費者におこなった独自調査によると、現状の日本社会に満足している人はわずか24%と、国民の約3/4が不満を持っているという結果だった。また、‟未来のために自分にできることがある“と答えた人を職種別にみると学生が圧倒的に多く、企業人でも経営者・役員よりも若手の方が反応が良い結果であった。

「歴史を振り返ると、こうした“今のままでは危ない”という社会状況において危機感を抱く人々が行動を起こすことでイノベーションが生まれています。‟未来のために自分にできることがある“という点では、今後の世界で最も多い層となるZ世代がこれからの世界をつくっていくと注目されています。ただし高齢化社会である日本ではその比率が小さい。つまりこれからは学生を含めた若い人たちがイノベーションを興していくことを支援していかなければ、日本の未来はないかもしれないとも言えるのです」。

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いま、イノベーションをあらためて考える
~イノベーション経営への挑戦~

紺野 登

多摩大学大学院教授 / エコシスラボ 代表
早稲田大学理工学部建築学科卒業。株式会社博報堂マーケティング・ディレクターを経て、現在多摩大学大学院教授(学術博士)、慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授、
一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)及び一般社団法人Future Center Alliance Japan(FCAJ)代表理事。
組織や社会の知識生態学(ナレッジエコロジー)をテーマに、リーダーシップ教育、組織変革、研究所などのワークプレイス・デザイン、都市開発プロジェクトなどの実務にかかわる。著書に、『ビジネスのためのデザイン思考』、『利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか(目的工学)』、野中郁次郎教授との共著に『知識創造の方法論』、『構想力の方法論: ビッグピクチャーを描け』などがある。

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