EVENT REPORT

Sep 2018

SDGs目標12 「つくる責任つかう責任」 について考える
“捨て方をデザインする” ものづくりのイノベーション

G7での海洋プラスチック憲章の採択、中国での資源ごみ輸入規制など、いま世界中でモノの廃棄やリサイクルの流れが大きく変わろうとしている。こうした流れが加速していく背景のひとつにあるのが、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標『SDGs』」だ。

今回のWAOでは、廃棄を無くすことを目指す産業廃棄物処分事業者、株式会社ナカダイの常務取締役、中台澄之さんを迎え、ものづくりにおけるイノベーションについて考えるイベントを開催した。

つくった”後”の責任、つかった”後”の責任

つくった”後”の責任、つかった”後”の責任

つくった”後”の責任、つかった”後”の責任

最近、耳にする「持続可能な開発目標『SDGs』」。その12番目の目標に「つくる責任、つかう責任」がある。

「『つくる責任、つかう責任』の中には、『つくった”後”の責任、つかった”後”の責任』も含まれます」。

そう話す中台さんは、「未来」の廃棄やリサイクルの在り方について、課題を投げかける。

「これまで日本国内では、プラスチックや金属類のリサイクルをほとんど行っていません。大部分を中国へ輸出していました。しかし昨年、中国がプラスチック廃棄物の輸入をストップしました。金属類も今後ストップされる予定です。そうなると、これまでのリサイクルスキームが成り立たなくなります」。

中台さんが投げかける課題は、スキームの話だけではない。

「中国の廃棄物リサイクル現場では、労働者の健康被害や、児童への強制労働など、様々な問題が起きていました。中国がプラスチック廃棄物などの輸入をストップした背景には、これらの問題があります。私たちが生み出した廃棄物が、海外の環境や人権に悪影響を与えることは、あってはならないことです。そこも含めて、考えていかなければなりません」。

現在、東京都で発生する廃棄物のうち、埋め立て処分となるものは、東京湾に埋め立てられている。しかしこの埋め立て処分場は、あと50年でいっぱいになってしまうという試算が出ているという。これまで中国へ輸出していたプラスチック廃棄物も、この埋め立て処分場に集まって来ることになる。そうなると、50年という試算が早まる可能性すらある。

「社会的な背景からも、企業の責任として、製品を作ったら回収を前提としたスキームを組み立てないと、成り立たない状況に来ているのです」と、廃棄・リサイクルの課題は、もはや環境や情緒的な観点だけではないと、中台さんはいう。

リサイクル率99%を支える、仕分け能力

リサイクル率99%を支える、仕分け能力

リサイクル率99%を支える、仕分け能力

中台さんが常務取締役を務めるナカダイでは、産業廃棄物処分だけでなく、中古リユース事業などもおこなう。そのナカダイの最大の特徴は、リユース・リサイクル率が99%という点だ。なぜ、このような高いリサイクル率が達成できるのか。その理由は、仕分けの細かさにある。

プラスチックの種類は十数種におよび、それぞれ廃棄・リサイクル方法が異なる。ナカダイの社員のみなさんは、これらを見た目とにおいから種類を特定できるのである。

廃棄物を回収する前の仕分けにも、力を入れている。企業などに廃棄物の分別の仕方をコンサルティングする事業も行っている。

廃棄物の仕分け精度が上がるほど、リサイクル率は高くなる。その一方で、廃棄の仕分けに必要な「情報」の不足を、中台さんは課題として挙げる。

「現在圧倒的に不足しているのは、『情報』です。今は、製品に使われている原材料の種類が分からないために、見た目やにおいなどから仕分けしていますが、その『情報』を知ることができれば仕分けの効率が上がり、仕分けできる人が増えます。捨てる『情報』は、次に活かす『情報』にもなるのです」。

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SDGs目標12 「つくる責任つかう責任」 について考える
“捨て方をデザインする” ものづくりのイノベーション

中台 澄之

株式会社ナカダイ 常務取締役/株式会社モノファクトリー 代表取締役
1972年生まれ。東京理科大学理学部卒。証券会社勤務を経て、ナカダイに入社。
“リマーケティングビジネス”を考案し、“発想はモノから生まれる”をコンセプトに「モノ:ファクトリー」を創設。使い方を創造し、捨て方をデザインするビジネスアーティストとして、さまざまな研修やイベントなどの企画、運営を行っている。

株式会社ナカダイ http://www.nakadai.co.jp/
モノ:ファクトリー - 発想はモノから生まれる http://monofactory.nakadai.co.jp/
ブログ「ナカダイの産業廃棄物日記」https://www.axismag.jp/posts/serial/nakadai-notes

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