既成概念にとらわれない新事業のつくり方
自分の“気づいていない領域”を知るということ
森山さんが代表を務める株式会社CRAZY(以下CRAZY)は、2012年の創業以来、驚異的な成長を続けてきた。なかでも式場を持たない完全オーダーメイドのウェディングプロデュース事業「CRAZY WEDDING」は業界内外の注目を集め、従来の結婚式とは違った結婚式をしたいという想いを持つ多くの人たちに支持されている。“結婚式離れ”といわれる昨今だが、CRAZY WEDDINGが手掛ける結婚式は年間270にものぼるという。
「今回はタイトルにもある通り、事業開発についてお話できればと思っています」。
そう言って森山さんが見せてくれたスライドには、メタ認知の概念を図式化したイラストが映し出されていた。
「メタ認知とは、“気づいていない領域を知る”ということ、いわゆる“無知の知”です。自分はすべてを知らないということを理解した時に、事業開発は本当にうまくいきます。逆に言うと、みなさんの“知っている”という経験が事業創造をする上ではマイナスになります。逸脱すること、つまり当たり前だと思っていたことを疑ってみるということが本当に大事です」。
では、自身の中で出来上がった既成概念をどう疑えば良いのだろうか。続けて、森山さんは疑い方のスキルとして、U理論の考えを教えてくれた。
本質から考え直せる柔軟な脳みそをつくる
U理論とは、MITのオットー・シャーマー氏が唱えた理論。集団や組織が新たな未来を創造するためのリーダーシップの能力開発の仕方と、その能力をもとにどのようなプロセスで新たな現実を生み出すことができるのかが説かれている。
そのプロセスは、
① センシング:ただひたすら観察する。
② プレゼンシング:一歩下がって、内省する。内なる「知」が現れるに任せる。
③ クリエイティング:素早く、即興的に行動に移す。
の3段階で説明されている。
このなかで最も難しく、最も大事なのが一つ目の“ただひたすら観察すること”だと森山さんは言う。
「普段直感的あるいは感情的に判断してしまっていることをせずに、まず観察する。その真髄は『自分の見えていないものが既にある』という前提で、本質からもう一度考え直すことです。会社と社員、会社と個人、会社とプライベート、内と外…。そういう風に分けて判断するのではなく、オープンイノベーションの発想で、みなさんの専門分野とウェディング、脳科学…いろんなものをミックスしてみてください。そういう柔軟な発想で開発するということが新規事業開発のミソです」。
CRAZYはよく、なぜそんな奇抜なアイデアが生まれるのかといった質問をされるそうだが、それもこのメタ認知とU理論の考えがベースにあるからだという。
既成概念にとらわれない新事業のつくり方
森山 和彦
大学卒業後、新卒で勤めた人材コンサルティング会社在籍中に「世界の問題を解決したい」という思いにかられ、半年間答えを探し続ける。ある時「地球が喜ぶシゴトがしたい」というインスピレーションが湧き上がり、起業を決意し退職。世界を知るために毎日独学で世界経済から、環境問題、国際問題などを徹底的に調べる日々を過ごした。その後、世界放浪期間を経て2012年7月に株式会社UNITED STYLE(現CRAZY)を創業。
経営の第一優先を健康とし、毎日手作りの自然食を提供する他、全社員で世界一周旅行を行うなどユニークな経営を実施。最近では、日本初の睡眠報酬制度の発案・導入で世界各国のメディアからそのユニークな経営手法が注目を浴びる。2018年「働きがいのある会社」及び「働きがいのある会社 女性ランキング」初エントリーにてダブル受賞を果たす。
◆株式会社CRAZY
https://www.crazy.co.jp/
◆CRAZY WEDDINGが手がける新サービス 『IWAI OMOTESANDO』(2019年2月オープン予定)
https://iwai-crazy.jp/
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