EVENT REPORT

Feb 2017

翻訳しても届かない?
伝わる外国人向けメディア戦略

2016年、訪日外国人客数は2,400万人に達した。そして、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ますますその数は増えていくことが見込まれる。

こうしたなか、海外の方に向けた様々な日本の情報発信メディアが立ち上がり活況を呈しているが、果たして、海外の方の“知りたい”に応えられているのだろうか。

海外の方に情報を「届ける」にはどうした対策が必要か。訪日外国人メディア「DiGJAPAN!(ディグジャパン)」を運営する昭文社の鶴岡優子さんをお迎えし、お話を伺った。

外国人目線でのコンテンツづくり

外国人目線でのコンテンツづくり

外国人目線でのコンテンツづくり

昭文社は、「まっぷる」や「ことりっぷ」などのガイドブックや地図の出版、カーナビなどのデータ提供を行う会社。そうした昭文社で、訪日外国人メディア「DiGJPAN!」が生まれた。

鶴岡さんは当時経営企画室に所属し、新規事業立ち上げや広報活動をおこなっていた。あるとき、広報活動の一環として、各部署の社員に声をかけて、Facebookで台湾向けに日本観光の情報発信を始めることになった。その活動が「DiGJAPAN!」の礎となり、東京オリンピック・パラリンピック開催の決定とともに2014年に事業化。ウェブメディア・アプリ・ソーシャルメディアを展開し、現在では6言語に対応している。ウェブメディアは月間100万PV、ソーシャルメディアは88万人を抱えるメディアに成長した。


「『DiGJAPAN!』は特にアジア女子に強いメディアです。その源となっているのは、外国人目線でのコンテンツづくり。そのために私たちは、マーケティング知識があり、日本のことに精通した外国人スタッフを起用しています。コンテンツ編集には、なによりもメンバーが大事。読者がアジア女子であれば、編集者もアジア女子にしています。読者とのコミュニケーションや、流行へのアンテナなど同じ感覚をもっているほうが、“共感”を生むコンテンツがつくれるものです」。

そうした方針から「DiGJAPAN!」では、様々な国のスタッフを採用し、どう伝えると海外の読者が興味をもってもらえる記事となるかを企画して、取材・掲載をしている。

「日本のことをよくわかっている外国人スタッフがいることで、海外の方へ伝わりやすい翻訳ができるようになりました。地名やモノ、文化を知らないと訳出できない固有名詞や、相手国を意識した敬語や細かなニュアンス、与える印象などを考慮した言語対応に気を使っています。正確な情報で、かつ気持ちをゆさぶるような表現や現地の言葉づかいを真剣に取り込まないと、伝わることも伝わらない事態となってしまいます」。

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翻訳しても届かない?
伝わる外国人向けメディア戦略

鶴岡優子

株式会社昭文社グローバル事業本部マーケティングディレクター
訪日インバウンドメディア「DiGJAPAN!」では、インドネシア、英語圏全般と、台湾、タイ、韓国、シンガポール、国内のインバウンド事業者向けページほか、計11のFacebookアカウントを運営。さらに外国人旅行者向けウェブデイト・アプリを立ち上げる。6言語での情報発信は、ネイティブのスタッフを揃え、訪日旅行のトレンド、ニーズの高さ、旅行者の予算や実現性も考慮して国ごとに企画を詰め、取材・発信を行う。
DiGJAPAN!(https://digjapan.travel/)

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