~LGBTを考える~「自分らしく生きる」という選択
「アライ」という名の理解者
その後、西原さんは、タイで開催された「Miss International Queen 2015」というトランスジェンダーの世界大会に出場。そこで、ミスフォトジェニック賞という特別賞を受賞したことを機に、イベントの主催やモデル活動など、自身が表に立つ活動を積極的におこなっていった。
そのころから、社会もダイバーシティの浸透とともに、性への多様性の価値観も変わりはじめた。現在では、LGBTの言葉も浸透し、多くの注目を集めている。その一つの象徴として、毎年、ゴールデンウィーク期間に開催される「東京レインボープライド」という一大イベントがある。
「東京レインボープライド」とは、LGBTなどのセクシュアル・マイノリティ(性的少数派)への理解を深めるイベントであり、西原さんは、この主催団体が制作する情報誌の表紙を飾ったり、イベント出演をおこなったりしている。
「今年の『東京レインボープライド』は約10万人を動員しました。そのうち、LGBT当事者でない人の動員は、7万人ともいわれています。こうしたLGBT当事者ではないけど、LGBTの理解者の方々を私たちは、『アライ(Ally)』と呼んでいます。いまのムーブメントに関して、賛否両論があるのも事実ですが、私の個人的な意見としては、これを機会に、『アライ』の方が一人でも増えていくことを望んでいます。自分を理解してくれる人がいるということは、LGBT当事者でなくとも大切なことですよね。なぜなら、人は孤独に弱い生き物で、一人では生きていけないのですから」。
そして、最後に西原さんはこのような言葉で講演を締めくくった。
「最後に、今日は、織姫と彦星が年に1回会える七夕です。LGBTの人はよく、『恋人を探すのは、大変じゃないですか』って、質問されることがあります。けど、LGBTに限らず、運命の人に出会い、結ばれることって難しいことではありませんか。なにがいいたいかというと、運命にセクシャリティは関係ありません。織姫と彦星のように、たった一人の運命の人に出会うことは、誰もが難しいことなんですから」。
イベントはその後、会場からのLGBTに関する感想や質疑が交わされ、大盛況のうちに終了した。参加者からは「西原さんの強さに感動するとともに、自分もそう生きたいと思った」、「LGBTの人たちが自身を隠すことのない会社にしていきたい」、「アライの活動を広めていくためにも、これからもLGBTの理解を深めていきたい」などの感想が多数寄せられた。
撮影:山岸悠太郎
<Jul.2017 小出 伸作(WAO事務局)>
~LGBTを考える~「自分らしく生きる」という選択
西原さつき
乙女塾 代表/モデル/タレント。16歳からホルモン治療を開始。大学卒業後、広告代理店でOLとして勤務。就業中に戸籍名を女性名に変更。2013年 タイで性別適合手術を受ける。2015年 タイで行われたトランスジェンダーの世界大会「MissInternationalQueen 2015」にて特別賞のフォトジェニック賞受賞。現在はLGBT関係の講演会、モデル、テレビ出演、執筆などの仕事を中心に行なっている。性同一性障がいの方のための女性化レッスン『乙女塾』代表講師。
西原さつきオフィシャルサイト:https://www.satsukipon.com/
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