EVENT REPORT

Aug 2017

「想い」を起点にした事業の生み出しかた

食べるスープの専門店「Soup Stock Tokyo」をはじめ、新しい事業を生み出してきた株式会社スマイルズ代表取締役社長の遠山正道さん。

WAOでは、遠山さんをお招きし自身の経験を語っていただくことで、事業を起こすために大切なことを学ぶイベントを開催した。

起業へと突き動かした「想い」

起業へと突き動かした「想い」

起業へと突き動かした「想い」

商社マンとして働いていた遠山さんが、「Soup Stock Tokyo」第1号店(1999年出店)を立ち上げるまでの経緯を教えてくれた。

「三菱商事に入社して10年が経ったころ、優秀な部長のもとで、やりがいのある仕事をしていました。しかし、ふと『部長がいなかったらどうなってしまうのか?』と考えたとき、焦燥感に駆られましてね。社内には立派な仕事はたくさんある、尊敬する先輩もいるけれども、このまま定年まで過ごすことに、自分は満足できるのかって考えはじめたんです」。

そうした気持ちを抱えているなか、遠山さんは、ある言葉をきっかけに、“自分のやりたいことをやってみよう”と、行動に移すことになる。

「32歳のとき、自分の夢を聞かれて、『絵の個展とかやってみたいなぁ』と答えると、『いつやるの?年齢は四捨五入ではなくて、三捨四入だぞ。30代は33歳までだ』と言われ、その言葉に動かされました」。

その日から週に1枚以上、合計70点ほどの作品を描き、翌年には念願の個展を開催。展示した作品は完売し、達成感を感じていた遠山さん。しかし、個展の開催に協力してくれた方に感謝を伝えたところ、「そんな小さな夢に付き合っていたわけではない。これはスタートだろ」といわれたという。

「衝撃的な言葉でしたが、改めてこれで終わってはいけないと覚悟しました」。

そして、遠山さんは、個展でお世話になった方々160名に手紙を送った。その内容は、「皆さんのおかげで個展を終えることが出来ました。その恩に報いるために成功することに決めました。何をするかは未定です」といった、自分自身への決意表明ともいえる手紙であった。

物語が生んだ、新しいスープ専門店 

物語が生んだ、新しいスープ専門店 

その後、「自分は何をやりたいのか?」という問いに真剣に向き合った遠山さん。その結果、導き出した一つの答えが「食」であった。当時、三菱商事と資本関係のあったケンタッキー・フライド・チキンへの出向を希望し、そこで、スープ専門店「Soup Stock Tokyo」を立ち上げることになる。

「ある日、“女性がスープを飲んでほっとしているシーン”が思い浮かびましてね。その時、すごく大事なことに出会えた気がしたんです。そこから3ヶ月かけて『スープのある1日』という、すべて過去形で書いた物語調の事業企画書を書き上げました。どうして物語にしたかというと、提案相手にも、自分が実現したいと思っている景色を見て、評価してもらいたいと思ったからです」。

遠山さんの「想い」は共感を呼び、社内ベンチャー企業「スマイルズ」として、スタートをきった。2008年にはMBOを実施し独立起業となり、いまでは全国60店舗を超えるまでに「Soup Stock Tokyo」は成長した。

その後、遠山さんは、ネクタイブランド「giraffe」やセレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」など、「想い」を起点とした事業を展開していく。

1

2

3

「想い」を起点にした事業の生み出しかた

遠山 正道

株式会社スマイルズ、代表取締役社長。慶應義塾大学卒業後、85年三菱商事株式会社入社。2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。現在、「Soup Stock Tokyo」のほか、ネクタイ専門店「giraffe」、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」、コンテンポラリーフード&リカー「PAVILION」、海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」などを展開。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。
株式会社 スマイルズ:http://www.smiles.co.jp/

OTHER ARTICLE

このカテゴリの他の記事

最先端ITが農業の未来を変える

REPORT

最先端ITが農業の未来を変える

獣害被害をビジネスに変える

REPORT

獣害被害をビジネスに変える

~“ありのまま”の水中世界を伝え続ける~
水中写真家が切り撮る『自然』の魅力

REPORT

~“ありのまま”の水中世界を伝え続ける~ 水中写真家が切り撮る『自然』の魅力