EVENT REPORT

Jan 2020

いま、地域に求められる「らしさ」

住むように地域にかかわり、1冊ずつ本を編む

住むように地域にかかわり、1冊ずつ本を編む

住むように地域にかかわり、1冊ずつ本を編む

住むように地域にかかわり、1冊ずつ本を編む

「d design travel」の編集の方法は独特だ。2~3か月間、編集部がその土地で実際に暮らすことから始まる。そこで、地域住民とのワークショップでその土地に長く根付いているものや、長く残ってほしいものをアンケートやヒアリングを通して丹念に探り出してゆく。そして、その場に足を運び、自分たちの目で確かめて編集をしていくのだ。

「制作の多くの時間は、その地域を見ることに費やされていきます。最初の1か月は観光の目線で“これ面白いな”という感覚で見ていきますが、2か月ほど滞在しているとだんだん住民のような感覚になってきて、“こっちの方が面白そうだけど、実はあっちを応援した方がこの土地にとってはいいんだな”と、いうことが見えてきます」。

こうして、表面的な観光の視点ではなく、その土地に根差す個性を発掘し、ロングライフデザインの視点でその土地のガイドブックという形に編集していく。

多くの地域を取り上げてきた「d design travel」だが、その1冊1冊が似たものにならず、地域の「らしさ」を伝えることができるのは、こうした独特の編集プロセスがあるからだ。

「違うものを同じように編集すると同じように見えてしまう。だから僕らは、地域に住んで、沢山の人に出会って、奥の方まで見ていっています。そうするとおのずと違いや個性がきちんとわかってくるので、それを丁寧に伝えていこうとしています」と、相馬さん。

最後に、相馬さんはD&DEPARTMENT PROJECTとして考えるこれからの活動についても話してくれた。

「長く続くものは、一般の生活者の日常に関わるようにしていかないと続いていかないと思います。各地の伝統的な産業で課題になっている後継者問題にも、僕たち“らしく”もっとチャーミングに取り組んでいけたらと考えています」。



〈Jan.2020 河村茉衣子(WAO事務局)〉

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いま、地域に求められる「らしさ」

相馬夕輝

D&DEPARTMENT PROJECT
代表取締役社長・ディレクター

1980年滋賀県生まれ。2003年よりD&DEPARTMENT PROJECTに参加。大阪店、東京店の店長を 経て2009年より代表取締役社長に就任。「ロングライフデザイン」をテーマに、47都道府県に1か所ずつ、デザインの道の駅「D&DEPARTMENT」をつくりながら、観光ガイドブック『d design travel』刊行の他、ミュージアム・ストア・食堂を連動させた「d47」を渋谷ヒカリエに展開するなど、物販・飲食・出版・観光を通して、47の「個性」と「息の長い、その土地らしいデザイン」を見直し、発掘、紹介する活動を行う。担当する飲食部門では、日本各地を取材し、その土地の食材や食文化を活かしたメニュー開発や、イベント企画などを手がける。

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