EVENT REPORT

Jan 2018

自らのスキルを地域に活かす時代

インターネットを活用した地方創生の取り組み

①インターネットで商品をPRする
長島町では、インターネットを使いさまざまな方法で特産品のPRをおこなっている。地域の特産品を紹介するメディアと合わせて販売するEC「長島大陸市場」では、ブリをはじめとした特産品の注文を全国から受け賑わっている。ここでは、売上の効果だけではなく、「いままでB2Bでやっていた町が自らB2Cの窓口を持つということが大事」と土井さんは話す。

また、料理レシピサービス「クックパッド」に長島町の公式アカウントを開設し、地元の主婦たちが特産品をつかったレシピを投稿。月間約3万PVのアクセスがあり、2017年には町民以外の人からブリを使ったレシピを募集するコンテストも開催し、400以上の応募があったという。

②インターネットで求人を集める
「地域には仕事がないわけではない。仕事を魅力的に伝えるということをやってこなかったことに課題がある」と土井さんは話す。そこで土井さんは、人材サービスの株式会社ビズリーチと連携し、求人募集をおこなった。まずは「地域おこし協力隊」を募集。その職種は「農水産物など特産品を販売できる人材、観光に詳しく旅行業界などと連携できる人材、就農希望者に町の魅力を伝え農業を指導できる人材」など、具体的な24項目を提示した。具体的な職種を掲示したのは、誰でもいいから来てほしいではなく、どんな人に来てほしいかを掲載することで優秀な人材を集めたいからだと土井さんはいう。

「地方での人材募集といえばハローワークに報酬と勤務体系を掲載し、人が来るのを待つのが主流でした。それだけでは仕事の魅力は伝わらない。また、ただ求人広告を掲載するのではなく、その職種の魅力の情報を発信し、オープンにしていくことが町のPRにも繋がっていきます」。

③インターネットで学校をつくる
「当然、ハードとしての学校をつくるとなると、多くの人やお金、時間が必要となります。そこで僕たちは、空いているスペースを活用し、インターネットで授業を受けられる仕組みを開発しました」。

とはいうものの、授業には良質なコンテンツと教える人材は必要なってくる。そこで、土井さんが組んだ先は、カドカワ株式会社と株式会社ドワンゴが開校したインターネット通信制高校「N高等学校」だ。「N高等学校」とは、インターネットを活用した通信制高校。高卒の資格を取得するための通常の授業だけではなく、プログラミングやファッション、パティシエなど、さまざまなジャンルの講義も受講できる。

そして、長島町では役場の空いているスペースをリフォームし、「N高等学校」と連携した「長島大陸Nセンター」を開設。高校のない町で高校生のアクティブラーニングを実施するプログラムを開催。

「まずは、全国の通信制教育に通っている子どもたちに『長島大陸Nセンター』に来てもらおうと、短期間のプログラムをつくり提供しました。こうした活動は交流人口を増やし、長島町のことを知ってもらう良い機会となっています」。

「長島大陸Nセンター」では、町で生産される商品のWEBサイトをつくるプログラムを展開。とはいっても、ただWEBサイトをつくるだけではない。生徒は生産者の家に宿泊し、一緒に生活をしながら取材を重ね、WEBサイトをつくっていく。こうした取り組みは、生徒、生産者共に新たな発見を与え、町の活性化にも影響を与えてくれると土井さんはいう。

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自らのスキルを地域に活かす時代

土井 隆

鹿児島県長島町地方創生統括監/株式会社コアース代表取締役/慶應義塾大学SFC研究所所員。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、楽天株式会社を経て、株式会社ルクサにてEC事業に従事。2012年、株式会社コアース設立。市民活動を支援するWEBサービスのプロデュースを事業とし、慶應義塾大学SFC研究員として地域社会における教育の研究を行う一方、2017年より鹿児島県長島町の地方創生統括監として地方創生の現場での取り組みを行っている。

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