“自分たちの可能性”をカタチにする
「47都道府県の一番搾り」の挑戦
“ワクワクするビールの未来”を描く
若者のビール離れや発泡酒・新ジャンルの台頭などを理由に低迷する国内ビール市場。この状況を打破するためキリンビールでは、これまでの “いつものビール”、“とりあえずビール”といった均質的なイメージから、“もっとお客様に寄り添ったビールの飲用シーンの創出”を目指し、さまざまな挑戦をおこなっている。そうした挑戦の一つが、「47都道府県の一番搾り」だ。
2016年の発売後、「47都道府県の一番搾り」は話題となり、初年度目標の2倍以上である270万箱(大びん換算)を出荷。また、地域に根差したプロモーション活動は、若年層からの支持も獲得し、SNS上では、「47都道府県の一番搾り」の話題が多く投稿されている。
「私たちは、いままでのプレミアムビールやスタンダードビール、発泡酒といった画一的なブランドの優劣ではなく、もっとお客様のことを考え、多様なシーンを創出する“ワクワクするビールの未来”を描いていきたいと思っています。『47都道府県の一番搾り』は、こうした着想のなか、生まれました」。
そう話すのは、「47都道府県の一番搾り」開発メンバーでもあるキリンビールマーケティング本部マーケティング部の大橋優隆さん。キリンビール入社後、品質管理や製造担当などの技術系の部署で経験を積んできた大橋さんは、2015年に自ら希望してマーケティング部へ異動。そして、異動直後、今回の「47都道府県の一番搾り」の重大プロジェクトのメンバーの一員としていきなり抜擢されたのだ。
全社一丸となって取り組むCSV
キリンでは全社一丸となりCSV(Creating Shared Value)の考えを推進している。CSVとは、商品やサービスなど事業活動を通じて、社会課題の解決に取り組み、長期的に企業価値を高めていく概念である。
CSVの本格的な推進の契機となったのが、東日本大震災だった。被災地となった宮城県の沿岸部に仙台工場を保有するキリン。東日本大震災の際には、ビールの貯蔵タンクは倒壊し、製品のほとんどが津波に流されるといった甚大な被害を受けた。
「仙台工場の閉鎖も考えなければならないほどの被害状況でしたが、私たちは被災の当事者として、地域の復興に寄与していこうという想いで仙台工場の復旧にあたることを決断しました。そしてこの決断は、企業の存在価値や社会的な存在意義を改めて気づかせてくれる機会を与えてくれました」。
現在キリンは、CSVの流れを加速させていくために、お酒を扱う企業としてまず、アルコール関連問題の解決に取り組んでいる。その上で事業と関係の深い「健康」「地域社会」「環境」という3つ柱を軸に、社会課題の解決に貢献する取り組みを推進。特にビール事業では「地域コミュニティへの貢献」は最重要課題のひとつと位置付けられ、「47都道府県の一番搾り」もこの一環で展開しているプロジェクトだ。
“自分たちの可能性”をカタチにする
「47都道府県の一番搾り」の挑戦
大橋 優隆
キリンビール株式会社 マーケティング部 商品開発研究所 商品開発グループ。2010年入社/農学研究科専攻修了。入社後、名古屋工場にて品質保証担当、および醸造担当を務めた後、自ら希望してマーケティング部へ。異動後、「47都道府県の一番搾り」という全社規模の重大プロジェクトに関わる。
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