「想い」を起点にした事業の生み出しかた
大事にしているのは「やりたいこと、という4行詩」
スマイルズでは、新しいことに挑戦する時、大切にしている4つの視点がある。その4つの視点を遠山さんは、4行詩で社員に伝えている。
~やりたいこと、という4行詩~
“やりたいということ”に出会い
“必然性”を根っこにして
“意義”を加えて
“なかったという価値”を創る
イベントでは、この4つの視点を詳しく解説していただいたので、紹介しよう。
① やりたいということ
「たとえば、アーティストが作品を創るときに、アンケートを取って、最も多い意見の絵を描こうなんて、ありえないですよね。理由はうまく言葉にできないが、トキメクからやる。そこに価値があり、それを世の中に提示していくことが大事。マーケティングを尊重することよりも、自身の価値を尊重してほしい」。
② 必然性
「必然性ってなにかというと、『自分事化』です。事業は順風満帆になんかいきません。何度も立ち止まってしまう場面を迎えることになります。その時に、“どうして自分たちがこれをやりたかったのか”という、個人的な熱量を持っていることが大切になります。それが、自分事化という必然性です」。
③ 意義
「当然ですが、事業は一人ではできません。社内の協力を得たり、銀行からお金を借りたりと、まわりを巻き込まなければならない。その時に必要となってくるのが、仲間から共感される意義です。これは、やりたいことのトキメキにも関わってくることにもなります」。
④ なかったという価値
「いま説明した3つの要素を意識して、やり続けるとオリジナルの価値になっていきます。オリジナルの価値とは、いままでになかった価値です。なかった価値を自分たちで創っていく、これは、自信やプライドにもつながっていきます」。
そしていま、スマイルズでは、4行詩を体現する社員の「想い」から成る事業が少しずつ実現されている。
スマイルズ社内ベンチャー第1号は、「bar Toilet」という名の新宿のバーだった。スマイルズが経営する「PASS THE BATON」の店長が、「いつか独立して、バーを開きたい」という想いからか始まった。ほかにも、共感できる魅力的な個人への出資なども行っている。たとえば、1冊の本を売る本屋「森岡書店」などがそうだ。今後も、個人の「想い」を起点にした事業が増えていけばと、遠山さんは話す。
「私たちがやっている事業の多くは、規模や売上も大きなところを求めないではじめています。つまりは、分母が小さいから、リスクも少ない。リスクが少ないということは、思い切って、自分がやりたいことができる。そこには、個人のアイデア、センス、コミュニケーション、情熱、リスクがそのまま仕事と全て重なってくる。仕事と人生が重なっているんです。こうした進め方は、しっかり両足で立っているという感じがするんですよね」。
「想い」を起点にした事業の生み出しかた
遠山 正道
株式会社スマイルズ、代表取締役社長。慶應義塾大学卒業後、85年三菱商事株式会社入社。2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。現在、「Soup Stock Tokyo」のほか、ネクタイ専門店「giraffe」、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」、コンテンポラリーフード&リカー「PAVILION」、海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」などを展開。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。
株式会社 スマイルズ:http://www.smiles.co.jp/
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