EVENT REPORT

May 2022

TOPPAN GENDER TALK Powered by大和シルフィード
~女性サッカーチームと学び・考える~ 女性のヘルスケアとパフォーマンスの最大化

女性特有の体調管理が、成績やチーム運営に深く関わるスポーツの世界。女性アスリートの体調管理法やチームでのヘルスケアの課題解決の事例は、働く女性がより力を発揮するヒントとなるのでは。今回は、大和シルフィードの選手、スタッフ、スポーツファーマシストの皆さんと、女性の健康の悩み、主に月経の理解について学んでいきます。正しい知識の習得や、ヘルスケアの管理法、チームのサポートについて考えていきます。

月経に関する正しい知識

月経に関する正しい知識

まず初めに、スポーツファーマシストとして、スポーツの現場で選手の投薬管理や、健康管理、体調のケアなどをサポートしている、砂本沙織さんより、月経の仕組みとそのトラブルについて教えていただいた。

月経は二つの女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」の働きによって起こるもの。「エストロゲン」は妊娠に備える身体にするホルモンで、子宮内膜を厚くし、骨や血管を強くするなどの働きがある。一方「プロゲステロン」は妊娠を維持しやすい身体にするホルモンで、子宮内膜を柔らかく保ち、水分をため込み、体温を上げるなどの働きをするため、例えば浮腫みや眠気などの体調変化も引き起こす。
「この二つのホルモンの増減サイクルが、月経周期であり、身体に変化を起こします。女性は、ひと月に4回人格が変わるといえるほどです。比較して男性ホルモンの増減はほぼなく、一定です。女性のほうが身体の仕組み上、ホルモンによる体調不良を負いやすいという認識が必要ですし、当事者である女性は、体調管理のために、基礎体温を測って周期を把握し、ホルモンの働きを見える化することが必要だと思います」。

こうした月経周期によるコンディションの影響を、女性のトップアスリートの実に90%以上が感じており、パフォーマンス向上のために戦略的に月経管理を行っている。一方、一般の女性も85%以上が、仕事への影響を感じている。
「ヘルスリテラシーが高い層は、月経による仕事への影響をコントロールできているという結果もあります。つまり、自分の体調に関して、必要な情報にアクセスし、理解し、活用する能力が高い人は、月経による不調も、ある程度管理できるということ。積極的な月経管理は、ビジネスパーソンである女性たちにも必要なことだといえます」。

月経関連症状による経済損失 健康管理でパフォーマンスアップへ

月経関連症状による経済損失 健康管理でパフォーマンスアップへ

月経による不調があるにも関わらず、多くの女性が何も対処せず、我慢しているのが現状だ。”生理痛は病気じゃない”などと言われることもあるが、生活に支障が出るほどの生理痛は、月経困難症や婦人科系の病気など治療が必要なSOSサインのこともある。

また、こうした隠れ我慢は、病気を見過ごすだけでなく、経済的な損失にも繋がっている。

月経関連の経済損失は、年間で、6兆47億円を超える(参考:『働く女性の健康調査』日本医療政策機構)。そのうち生産性の損失は4.95兆円にのぼり、女性従業員が2,500人ほどの企業だと、年間6億4千万円ほどの損失がでていることになる。
「生産性損失で、もっともコストがかかっているのが『presenteeism』、勤務はしているものの、体調不良が原因でパフォーマンスが100%ではない状態のこと。欠勤『absenteeizm』よりも、我慢して勤務することのほうが、コストがかかっているんです」と砂本さんは話す。

企業としては、健康経営を推進し「presenteeism」に伴う損失を縮小することによって、生産性をアップし、最大のパフォーマンスを出せる集団になることが重要となる。
「経済産業省の提言にも、健康課題に対応し、環境整備することが、生産性向上や企業の業績向上に結びつくとでています。性別や年齢に関わらず、社員の健康課題を踏まえて環境整備をすることで、全ての従業員にとって働きやすい環境になると思います」と砂本さんは話す。

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~女性サッカーチームと学び・考える~ 女性のヘルスケアとパフォーマンスの最大化

大和シルフィード

1998年創立の女性サッカーチーム。
2022年なでしこリーグ2部に参戦。プロリーグ「WEリーグ」参入を目指しプロ化中。2011年W杯優勝メンバーである川澄奈穂美選手や上尾辺めぐみ選手らを輩出。
神奈川県、大和市とともに、フットボール強化と社会課題の解決(ジェンダー、平等、等)の両立を目指した活動を実践している。

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