PROJECTS

May 2020

得意先企業×凸版印刷共創プロジェクト 『価値を起点とした新商品開発』

WAOでは定期的なイベント以外にも得意先企業との共創プロジェクトも実施している。参加した業界も多岐にわたり、トイレタリー、製菓、食品、モビリティなど様々だ。今回は過去に実施したいくつかの共創プロジェクトの中から、新商品開発をテーマにしたプロジェクトの概要について紹介する。

共創プロジェクトのプログラム構成例

共創プロジェクトのプログラム構成例

プログラムは数日間のワークショップ形式でおこなっている。平均すると4~5日程度だが、要望やスケジュールによって形式や日数、プログラム内容の調整は可能だ。得意先企業と凸版印刷の社員とで構成されたグループをいくつか作り、WAOの外部サポーターのファシリテーションでそれぞれのグループごとにアイデアを形にしていく。各ワークショップ後には次の回までに準備する事前課題などが組まれる場合もある。

ライフスタイルの中のシチュエーションを考える

ライフスタイルの中のシチュエーションを考える

新商品開発のプログラムでは、まずはじめにユーザーがどのようなシーンで商品を購入するのか、またその背景や動機は何かを考えていった。同時にユーザーインサイトを掘り下げ、商品がどのような価値を提供しているのかを分析していく。

価値の分類と価値感度調査

抽出したそれぞれの価値について、実際にどのようなカテゴリーのユーザーがどれだけ反応するのかを、独自の調査スキームを活用してリサーチをおこなう。
ここで大事になってくるのが“価値には強度があり、ユーザーが感じる価値はユーザーによって異なる”ということだ。価値には入口価値・熱狂価値・本質価値の3種類があり、以下のように説明することができる(※1)。

<入口価値>
・誰にでも目に付く分かりやすい表面的な買う理由となる価値
・ないと不満であるが、あっても感動にはつながらない価値

<熱狂価値>
・なくても不満にはならないが、あると感動につながる価値
・感動につながり、かつ実際に体験しなくても想像ができる価値

<本質価値>
・提供側が本当に伝えたい価値
・体験しなければ分からない、想像が及ばない価値

具体的な既存サービスを例に出して説明すると、たとえばAirBnBの場合は

入口価値・・・格安で宿が借りられる
熱狂価値・・・宿のバリエーションが世界一
本質価値・・・現地にマブダチができる

といえるだろう。
この事実に基づいて価値感度調査の結果を整理・分析し、商品に反映させる要素を取捨選択していく。

※1 出典:いちばんやさしいビジネスモデルの教本 人気講師が教える利益を生み出す仕 組みの作り方(山口高広著)

ポジショニングの形成

ポジショニングの形成

最後に、マーケットに適応するために最重要とも言われるポジショニングを考える。ここでも価値感度調査の結果を用いることで、マーケットにおいて売れるポジショニングを確立することができる。

商品コンセプト・アイデア作成、ユーザーリサーチの繰り返し

ここまで説明してきたすべてのステップにおいて、商品コンセプトとアイデアの作成、ユーザーリサーチによる検証、検証結果に基づいたブラッシュアップを都度おこなっている。
得意先企業と凸版印刷それぞれが持つリソースの価値を見出して新商品に反映させることはもちろん、ユーザーが商品を購買する理由を把握し、その購買理由に合わせた商品やサービス及び店舗での体験を最適化するデザインへと落とし込んでいくのがWAOが提供するプログラムだ。

今後も商品開発にとどまらず、様々な得意先企業とのコラボレーションにより、これまでにない新しい価値を市場に展開していく。


<May.2020 鈴木 潤子(WAO事務局)>

PROJECT

得意先企業×凸版印刷共創プロジェクト

イメージ1

【ワークショップ講師】山口高広氏
GOB Incubation Partners株式会社 代表取締役社長

元プロスポーツ選手、19歳で不動産会社を起業、3年後に事業売却。それ以外にも複数の事業を起業・売却。その後、野村総合研究所に参画しビジネスイノベーション室長就任。
2014年、GOB Incubation Partnersを創業。現在、起業支援インキュベータとして、企業内起業においても多くの事業・サービス開発に携わる。また、GOB Incubation Partnersでは主に若い世代がイノベーションに挑戦するためのマインドセット創り、事業化支援、キャンプ等までも実施している。
内閣府若者雇用戦略協議会委員など政府委員就任歴多数。著書多数


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