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Feb 2017

‟枠“にはまらない環境がイノベーションを創出する

山口 高弘( GOB Incubation Partners株式会社  代表取締役社長 )

プロボクサー、不動産会社起業、シンクタンク、インキュベータ。

こうしたオリジナリティ溢れる経歴を持つのは、GOB Incubation Partners株式会社の代表取締役社長、山口高弘さん。

「事業創出の才能があっても、事業創出に携わる機会がなければその才能は埋もれてしまったままです。そうした人たちを浮かび上がらせ、才能発揮の場をつくっていくことで世の中はきっと良い方向に変わっていくと思っています」。

そう話す山口さんは現在、自らの枠に捉われない経験を活かし、学生などの若い世代や企業内起業家たちへの支援をおこなっている。

人の行動に着目し、新たな機会を発掘する

事業創出支援だけでなく、自らも起業経験がある山口さんですが、事業を考えるうえで大事にしていることを教えてください。

事業創出支援だけでなく、自らも起業経験がある山口さんですが、事業を考えるうえで大事にしていることを教えてください。

(山口氏)それは「人中心型のイノベーション」です。

ご存知の通り、いままで日本が得意としていた技術主導型のイノベーションは、現在の世の中の変化のスピードでは立ち回らなくなってきています。そうした状況のなか、技術主導型のイノベーションを補完して余りある機会をもたらすのは、人の行動に着目し、人の潜在願望を捉えるという「人中心型のイノベーション」です。

もちろん、イノベーションを牽引していく主体はいまも技術にあります。しかし、人の行動の変化はインターネット検索とSNSによって、瞬時に時間と空間を超えて広がる時代になっています。

例えば、旅行者がホテルではなく民家に宿泊するという行動をとっているとします。その事実がSNSに乗ることで瞬時に世界に広がり、大きな流れを生み出します。その流れを汲み取って、AirBnBのように民泊事業を生み出すことができます。

人の行動の変化を捉えて機会に変えるためには、人の行動から新しい機会を発掘していくことが事業を考えるうえで大事となっています。

アイデア創出はトレーニング可能

山口さんは事業創出のための「ビジネスアイデア創出」に関する書籍を出されていますが、ビジネスアイデアの創出に必要なスキルとは何でしょうか。

山口さんは事業創出のための「ビジネスアイデア創出」に関する書籍を出されていますが、ビジネスアイデアの創出に必要なスキルとは何でしょうか。

(山口氏)アイデアはセンスや創造性の高い人だけがつくれると思っている方が多くいますが、それは大きな誤解です。

アイデアをつくるのに重要なのは、「要素と要素の組み合わせ」です。

ただ、要素を知っていなければそもそもアイデアは創られません。そのために必要なのがインプットであり、インプットさえおこなっていればアイデアのベースは揃っていきます。アイデアが生まれないと口走る人は、そうしたインプットの作業が不足しているだけです。

また、その要素の組み合わせについてもセンスがある人が直観的に組み合わせているかといえば、そうではありません。アイデアをつくっていくということは、とてもロジカルな過程を経てできあがっていきます。

アイデアをつくるのはセンスなどではなく、インプットで得た知識とロジカルシンキングをベースとした組み立てです。それはトレーニングで身につけていくことができます。

具体的にどうやって鍛えていけばよいのでしょうか。

具体的にどうやって鍛えていけばよいのでしょうか。

(山口氏)アイデアをつくり出す際の要素と要素の組み合わせには重要なことは、既存ソリューションの「真似」と、その「真似」の対象となったソリューションの良いとこ、すなわち「エッセンスを抽出」するというトレーニングをおこなうことです。

新しいイノベーションは「真似」から始まります。しかし、「真似」で終わってしまうと二番煎じの「模倣」になってしまいます。

そこで大事なのが、その既存ソリューションの「エッセンスを抽出」して、取り入れていくことです。

10分1000円のQBハウスは、高速で散髪が終わるという新たな業態を生み出すために、散髪屋という既存のソリューションに「F1のピット作業」のエッセンスを取り入れました。そのエッセンスとは、“高速で人的作業を完結する”というものです。このエッセンスを取り入れることでQBハウスは、新たな散髪屋のアイデアを生み出していきました。

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PROFILE

山口 高弘(GOB Incubation Partners株式会社  代表取締役社長)

元プロスポーツ選手、19歳で不動産会社を起業、3年後に事業売却。それ以外にも複数の事業を起業・売却。その後、野村総合研究所に参画しビジネスイノベーション室長就任。
2014年、GOB Incubation Partnersを創業。現在、起業支援インキュベータとして、企業内起業においても多くの事業・サービス開発に携わる。また、GOB Incubation Partnersでは主に若い世代がイノベーションに挑戦するためのマインドセット創り、事業化支援、キャンプ等までも実施している。
内閣府若者雇用戦略協議会委員など政府委員就任歴多数。著書多数。


http://gob-ip.net/

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