MESSAGE

Aug 2017

ビジネスのトランスフォーメーションを通じて、
世界を変える

稲村健夫( 一般社団法人イマココラボ  代表理事/コンセプトデザイナー )

2015年の国連サミットで、17の持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」が採択された。これは、全人類の経済的な豊かさと、地球環境保全を両立する社会を目指した、国際社会の共通目標である。このSDGsの世界観を楽しく体感しながら、自分ごと化につなげるカードゲーム「2030SDGs」が、いま注目されている。

このカードゲームを開発したのが、一般社団法人イマココラボ・代表理事の稲村健夫(いなむら・たけお)さんと、株式会社プロジェクトデザイン・社長の福井信英(ふくい・のぶひで)さんである。

稲村さんたちは、このカードゲームをきっかけとして、「ビジネス自体のトランスフォーメーションを通じて、世界のトランスフォーメーションをつくっていく」ことを目指している。

2日で完成した、カードゲーム「2030SDGs」

カードゲーム「2030SDGs」は、どのようなきっかけで生まれたのですか。

カードゲーム「2030SDGs」は、どのようなきっかけで生まれたのですか。

(稲村氏)2016年2月に、友人でありビジネスゲーム開発のプロである福井さんと一緒に、三重県に出張へ行ったことがきっかけです。

その日の仕事が終わり、雑談のなかで、福井さんから、“最近の興味”を聞かれ、「SDGsが熱いんだよ」と答えました。そして、初めて僕がSDGsを知ったときの衝撃などを交えて、1時間ほど話し、さらに翌日も、帰りの電車のなかで、SDGsの話しの続きをしました。翌朝、驚いたことに、福井さんから「SDGsのゲームが、ほぼ完成した」というメールが入っていたんです。

実際にトライアルプレイをしてみて、さらに驚きました。ゲームは本当にほとんど完成していて、修正はごくわずかでした。実質2日弱の開発期間は、通常のカードゲーム開発では信じられないスピードですよね。

カードゲーム「2030SDGs」は、ものすごいスピードで生まれたのですね。その後は、どのような動きとなったのでしょうか。

カードゲーム「2030SDGs」は、ものすごいスピードで生まれたのですね。その後は、どのような動きとなったのでしょうか。

(稲村氏)2016年5月に、カードゲーム「2030SDGs」の最初のイベントを計画して、参加者をFacebookで募集したところ、35人の定員はすぐに埋まり、キャンセル待ちまででました。「興味あり」も750以上つき、そのほとんどが僕の知らない人たちでした。その後のイベントも満員御礼が続き、このような状況にとても驚いたと同時に、「みんなSDGsのような考えに興味を持っているのだな」と感じました。

※制作秘話をもっと詳しく知りたい方は、イマココラボ・ブログ「2日間で作ったってホント!? カードゲーム「2030SDGs」制作秘話」(リンク:https://imacocollabo.or.jp/blog/2017/07/10/story/)をご覧ください。

自分が「普通」だからこそ気が付いた、「社会課題×ポジティブアプローチ」という手法

ポジティブアプローチを用いた人材教育の手法は、いつ頃気付いたのでしょうか。

(稲村氏)カードゲームを活用した研修×ポジティブアプローチの有効性は、以前から感じていました。

一般的に僕たちが持っている学習観では、上手くいかなかったときの方が、学びが多いと思うのではないでしょうか。しかし実際には、カードゲームで上手くいかなかった人に問いかけると、意気消沈してネガティブな言葉が並びがちです。一方で、上手くいった人に「なぜうまくいったのですか?」「何がよかったのですか?」と問いかけると、自分たちの良かった点についての的確な考察に加えて、「こうすればもっと良くなるかもしれない」というような、自分たちで自分たちの可能性を開いていくような意見がどんどん出てきました。

このような体験を通じて、「ポジティブな問いかけ、ポジティブな体験からこそ、生まれるパワーがある」ということに気が付いたんです。

僕は以前から、社会課題に興味関心を持っていましたが、同時に、社会課題に対する無力感や絶望感も持っていました。このような中で、「社会課題×ゲームを使ったポジティブアプローチ」の組み合わせに気付き、「これは使えるぞ」と思いました。

もしかしたら、僕が「目の前にどんな壁が立ちはだかっていたとしても、自分自身のエネルギーで解決していく」ようなタイプの人間だったら、思い至らなかったかもしれません。ごくごく普通で、無力感を感じて前に進めなくなってしまうような体験をしてきたからこそ、気づいたのかもしれないですね

1

2

3

PROFILE

稲村健夫(一般社団法人イマココラボ 代表理事/コンセプトデザイナー)

1999年からベンチャー企業の創業や、海外現地法人の立ち上げなどビジネスの第一線で活躍する。2012年取締役副社長兼COOとして株式会社ドアーズの創業に参画し、同社の海外研修プログラムが「日本の人事部 HRアワード」でプロフェッショナル部門の最優秀賞受賞を受賞するなど、先進的な人材開発手法の開発に貢献した。20代からずっと関心のあった社会システムの在り方にこそ、ゲーム×ポジティブアプローチが機能すると考えて、カードゲーム「2030SDGs」を共同開発。2016年一般社団法人イマココラボを設立。


一般社団法人イマココラボ(https://imacocollabo.or.jp/)

OTHER ARTICLE

このカテゴリの他の記事

数字では計れない価値を届けたい

MESSAGE

数字では計れない価値を届けたい

挑戦の伝播が、世界の未来をつくる

MESSAGE

挑戦の伝播が、世界の未来をつくる

ユーザーのリアルな反応が創造力を広げてくれる

MESSAGE

ユーザーのリアルな反応が創造力を広げてくれる