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Feb 2017

社会課題をビジネスで解決する

町井則雄( 株式会社シンカ  代表取締役社長 )

「社会課題解決型のビジネス創出は多くの企業で取り組んでいますが、そもそも現場の本質的な課題を見抜いていなければ、結果として袋小路に入ってしまい、事業までには至りません」。そう話すのは株式会社シンカの代表取締役社長、町井則雄さん。

町井さんは前職の日本財団ではCSR企画推進のチームリーダとして、企業やNPOなどと連携し、様々な社会課題の解決に向けたプロジェクトに取り組んできた。

そうした経験から社会課題の解決をビジネスとして取組む重要性を感じ、2016年に株式会社シンカを設立。現在は社会課題解決型のビジネス創出支援をおこなっている。

社会課題の解決には持続可能性が重要

町井さんが思う「社会課題をビジネスで解決する」ことの重要性について教えてください。

町井さんが思う「社会課題をビジネスで解決する」ことの重要性について教えてください。

(町井氏)持続可能性です。これが全てだと思っています。

高齢化など様々な社会課題に直面していくこれからの社会では、税収を上回るスピードで社会課題が深刻化していくことが予想されます。

社会課題の解決を国や自治体の補助金だけに頼っているようであれば、我々の社会的負荷はなくなりません。そのためには、ビジネスの力を持って持続的に解決していく必要があります。

それに、社会課題の解決をビジネスにすることは、いまに始まったことではありません。いままでも多くの社会課題は存在していて、その解決に企業は取り組んできました。

例えば、情報を流通させる仕組みに課題があった時代に郵便事業は生まれました。自動車や家電製品も、社会や消費者が抱えていた課題から生まれたプロダクトのカタチです。ただ、社会が成熟してくるなか、こうした企業のサービスによって、本来存在している課題を課題と認識しないで済むという時代が続いてきました。

もし、当たり前のように利用している郵便や流通事業がなくなったときのことを想像してみてください。大混乱ですよね。こうした企業のサービスが持続的な社会課題の解決につながり、今の快適な社会づくりの重要な部分を担っています。

社会課題の解決には、経済循環を含めた持続的な活動を前提にした取組が必要で、そのためのビジネスモデルが重要ということです。

また、こうしたビジネスモデルと社会課題解決を結びつけていくことは、企業の事業領域を広げていく可能性もあり、それは企業の成長や持続可能性にもつながっていきます。

企業の役割はスケールを生じさせていくこと

そうしたなか、社会課題解決における企業の役割はどこにあるのでしょう

そうしたなか、社会課題解決における企業の役割はどこにあるのでしょう

(町井氏)スケールを生じさせていくことだと思います。

企業とNPOでは役割が違います。NPOは、社会がまだその課題に注目していないときから志を持って活動をしていきます。いわゆるアーリーアダプターとしての役割です。

社会課題の多くは、特定の地域だけでなく日本全体での解決が期待されます。そのようなスケールが求められるとき、そこに企業の保有するリソースや戦略が掛け算されれば、そのうねりを作り出すことができます。企業、NPOといったそれぞれが違う役割を持った組織が一緒に取り組むことで、お互いの強みを活かし、足りないことを補完して持続可能なモデルを作っていくことができます。

それは前職の日本財団で、NPOや企業と一緒に社会課題の解決に取り組んだ経験から得た私なりの確信です。

社会課題をビジネスで解決していくために企業に求められていることを教えてください。

(町井氏)利便性を求めてモノが売れていく成長社会の社会課題と、いまの日本のような成熟社会で起きている高齢化や少子化、人口減少などの社会課題は異なります。したがって、企業が取り組むべき社会課題も違います。しかし、いまだに多くの企業はモノが売れていった時代の成功体験を理想としていて、少なからずそれはマネジメントにも影響してしまっているかと思います。

旗振りを間違えてしまったり、間違いを指摘できなくなったりすることで、「課題が課題でなくなったのに、課題であり続けさせなきゃいけない呪縛」みたいなものに憑りつかれしまう状況だけは避けなきゃいけません。

「未知へのイマジネーション力」が新たなビジネスを創る

そうすると、従来の考え方から脱却することのできる人材が必要となりますね。そのような人材になるためにはどうしたらいいのでしょうか。

(町井氏)未知なるものに対してのイマジネーションを持つことだと思います。

多くの社会課題の原因は複層的です。そのため、その解決方法をデザインするにはイマジネーションすることが重要なのです。しかし、これは教育が大きな影響を与えるので簡単にできることではありません。

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PROFILE

町井則雄(株式会社シンカ 代表取締役社長)

前職の日本財団ではCSR企画推進のチームリーダとして、「日本財団公益コミュニティサイト『CANPAN(カンパン)』」の企画・開発や企業との連携による社会課題の解決に向けた事業づくりを担当。2016年、持続可能な社会づくりに向けたイノベーション事業をプローデュースするシンカを設立。


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