EVENT REPORT

Aug 2021

TOKYO2020最前線のストプラが実践する戦略的思考

戦略的思考を踏まえた企画事例

戦略的思考を踏まえた企画事例

戦略的思考を踏まえた企画事例

戦略的思考の一連の流れを伺ったところで、最後のまとめとしてここまでの考え方を中北さんが実際に携わった事例を用いて解説してくれた。

一つ目はアシックス様の『RUN for X』キャンペーン。オリパラのスポーツ機運を活かして、強みである「ランニング」を軸に“世の中の体を動かす人を増やす”ことを真の課題と位置付けて、結果としてアシックスを選ぶ人を増やすことにチャレンジした事例です。

「まず、戦略ターゲットであるM1・F1層の間では昔のようなヒエラルキー型/単一型の価値観は崩壊していて、それに伴ってスポーツやスポーツブランドに対する考え方も変わってきていました。誰かに勝つことや頂点を目指すことへの共感性が低下していることや、健康だからこそ運動することへの意識が薄い一方で、ストレス社会における精神的なイシューを抱える彼らのインサイトを捉え、彼らが共感できるようなスポーツへの意義や気づきを与えることができれば、真の課題を解決できると考えました」。

そこでアシックスのコア領域の一つであるランニング・カテゴリーに着目し、「走ること=RUN」をアップデートすることを提案。RUNはあらゆる人にとって必要不可欠なものであり、自分を前進させてくれるものであるとともに、それぞれの目的を果たすためのRUNがあるのではという、多くの人に共感してもらえるフレームとして「RUN for X」をチームで企画し、実現に至りました。

「新国立競技場のオープニングイベントで『Run for X』の概念を具現化するイベントを実施したり、TVCMにおいても、これまでのトップアスリートや部活生向けのイメージからアップデートするために、アスリート以外のセレブリティも出演するムービーを制作し、幅広い層に共感してもらい、より多くの人が自分も走りたいと思ってもらえるようなムーブメントを起こしたいと考えています」。

*『RUN for X』webサイト
https://www.asics.com/jp/ja-jp/runforx/
*『RUN for X』第一弾TVCM
https://www.youtube.com/watch?v=bkxWK8Jm0iU

もう一つは“ミレニアル世代とのエンゲージメント強化”という将来に向けた課題解決が求められたブリヂストン様の事例。

「既存顧客は中高年層がメインという現状から、スポーツ/オリンピック・パラリンピックを活用してまずは若年層にブリヂストンに気づいてもらう、共感してもらうことを“真の課題”に設定しました。コミュニケーションを考えていく中で、いくつかの調査を見ていくと、ミレニアル世代はオリンピックよりも『Diversity & Inclusion(以降D&I)』の意義が強いパラリンピックに対する関心度の方が高いことや、パラリンピックファンには若年層ソーシャライザーが多いことがわかってきました。そこから若者の共感を得るためにパラリンピックを活用したコミュニケーションが有効と考え、ブリヂストンが支援しているパラリンピックやサポートしているアスリート(TEAM BRIDGESTONE)を活用・起用し、若年層にも興味を持ってもらいやすい手法で、デジタルを中心にいくつかのアクティベーションを実践しました」。

若年層が振り向いてくれるよう、キャッチ―なクリエイターを使ってポップカルチャーなイラストと音楽を使いながら絵巻物調でアスリートを紹介した『パラアスリート歌絵巻』をデジタル上で流したほか、コロナ禍で甲子園等さまざまなスポーツイベントが中止になってしまった若者たちを応援したいという想いから、困難に挑み続けるアスリートと芸人がD&Iをテーマにしたトークを繰り広げるネット番組『DREAM STUDIO』を配信。IPC公認のパラゲーム『The Pegasus Dream Tour』では、ゲームという若者との距離が近いツールを使い、契約アスリートやブリヂストンのパビリオンの登場など、ゲーム内での若年層との接点づくりをおこなった。

*パラアスリート歌絵巻
https://www.bridgestone.co.jp/chaseyourdream/athlete/spss/utaemaki/
*DREAM STUDIO
https://www.bridgestone.co.jp/chaseyourdream/activity/dreamstudio/
*BRIDGESTONE ×IPC公認ゲーム「The Pegasus Dream Tour」
https://www.bridgestone.co.jp/chaseyourdream/activity/pegasusdreamtour/

いずれも戦略的思考の核となるCHALLENGE、INSIGHT、SOLUTIONがしっかりと考えられた上で施策に落とし込まれていることがよくわかった。

講演後には参加者から積極的な質疑が投げかけられたほか、「真の課題を見つけるプロセスが具体的に説明されていてわかりやすかった」、「今後のビジネス検討に活かしたい」といった感想が寄せられるなど、本イベントは盛況のうちに終了した。


<Aug, 2021 鈴木 潤子(WAO事務局)>

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TOKYO2020最前線のストプラが実践する戦略的思考

中北 隆盛

㈱電通 2020プロデュースセンター コミュニケーションストラテジスト/プランナー

2005年電通入社。マーケティング・戦略プランニングセクションにて14年間、営業セクションにてマーケティング業務に2年間従事。
マーケティング戦略、アクティベーション企画をはじめ、商品・サービス開発、企業・商品ブランディング、事業コンサルティング、都市開発等、幅広く戦略プランニングに携わる。 現在は2020プロデュースセンターに所属し、オリンピック・パラリンピック関連の戦略・企画業務をメインに担当。日本マーケティング協会(JMA)認定マーケティング・マスター。

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