EVENT REPORT

Aug 2018

「働き方改革」を自分ゴトとして考える 
~“自分の軸”を大切にする働き方とは?~

日本政府の大きな目標「一億総活躍社会の実現」に向けたチャレンジの1つである「働き方改革」。様々な企業が、就労環境や制度の見直しを問われる一方で、個々の働き手が自分自身の働き方を見つめ直す必要性が増してきている。

今回のイベントでは、大企業からベンチャー企業の立ち上げまで、様々な職場経験を経て起業した尾崎えり子さんをお招きして、ワークライフバランスの実践や地域との関りの中で行き着いた働く上での「自分の軸」を紹介しながら、その見つけ方について語っていただいた。

「自分の軸」を決めているからこそ肩書にはこだわらない

「自分の軸」を決めているからこそ肩書にはこだわらない

「自分の軸」を決めているからこそ肩書にはこだわらない

「私の名刺には肩書を書いていないんです」。イベントの冒頭、尾崎さんはこの言葉で口火を切った。

尾崎さんは、小学校や中学校でキャリアについて講演をする機会が多く、そこでは必ず「今ある会社や職業といった肩書は果たしてずっとあるだろうか?」という問いを学生に投げかけるそうだ。そして尾崎さんはその問いについて、「会社や職業は、ずっとあるものじゃないので、相手によって自分の肩書や職種を変えていく、柔軟な仕事の仕方もいいかなと思っています。だからこそ、肩書を外した時に自分はどんな“軸”で動く人間なのか、それが自分の働き方を左右することになります」と語った。

ビジネスに関して、0から1を作るのは得意だが、1から10に発展させるのは自分以外の得意な人がやれば良いと考える尾崎さんは、「自分の軸」の一つとして、「プロジェクトを自走できる状態にしたら、得意な人に任せる」ことを実行している。この軸を説明する事例として、流山市での民間学童保育の立ち上げの話をしてくれた。

現在尾崎さんが仕事の拠点としている流山市では、急激な転入人口の増加によって、保育園だけではなく、学童保育も不足している。そのため、子どもが小学3年生になるタイミングで預けられる場所を見つけられずに、仕事を辞めるお母さんもいる。この働くお母さん達の課題解決のために、尾崎さんは学習塾を運営する企業と共に、民間学童を立ち上げた。民間学童はどうしても費用が高くなるため、公設のものと差別化できる魅力の1つとして、子ども達が起業してお金を稼いで、自分達が使うものを買えるような新しいキャリア教育の仕組みを取り入れた。最初の1年間は尾崎さんのアドバイスのもと利益を出した子ども達の会社は、4年経った現在では社長・副社長の上級生が下の学年の子ども達を教育し、もう尾崎さんがいなくても順調に回っている。

「プロジェクトが自走できる状態になったら任せる」という尾崎さんの軸は、たとえ相手が子どもであってもぶれることはない。

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「働き方改革」を自分ゴトとして考える 
~“自分の軸”を大切にする働き方とは?~

尾崎えり子

Trist 代表/㈱新閃力 代表取締役。新卒で経営コンサルティング会社に入社し、結婚を機に転職。企業内起業で子会社を設立後に執行役員として事業開発に関わり、第一子育休復帰後、代表に就任。第二子の出産を機に退職して、千葉県流山市にて㈱新閃力を設立。
流山市をベースに民間学童のプロデュースや行政とともに創業スクールを立上げ、子ども子育て審議委員も務める。2016年にシェアサテライトオフィスTristをオープン。コミュニティ+教育+オフィスの3つを軸に展開し、1年で満席に。2018年4月には、2拠点目をオープン。
テレワーク推進賞やWork Story Awardなどを受賞。NHK日本テレビ等の番組や全国紙に数多く取り上げられる。NPOコヂカラ・ニッポンの副代表も務める。現在7歳と5歳の子育て中。

Trist WEBページ https://trist-japan.com/

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