~ビジネスが未来に与える影響をカードゲームで体感~
ビジネスの新潮流を知り、イノベーションのタネを考える
SDGsの本質は「世界は繋がっている」ということ
SDGsの17の開発目標は、それぞれが個別の問題である。しかし、これらの問題は複雑に相関して存在している。
例えば、開発途上国の子どもたちに教育を届けるために学校を作ったとする。しかし、子どもたちが学校に来ない。なぜならば、家庭が貧しくて子どもたちも働かなければならないから。では、家族総出で朝から晩まで働いているのに、なぜ貧困が続いているのか。その背景には、開発先進国の人間が安く購入する製品の存在があるかもしれない。
世界で起きている問題は、世界のシステムの中で発生している。そして、そのシステムの中には私たちも存在している。
「私も起点です」と稲村さんはいう。「私たちはシステムを作っている一部ですが、同時にシステムの中にいるからこそ世界を変えられる存在でもあります」
行動が変わるきっかけとして、「世界の状況を見える化する」方法がある。世界の状況を見える化し共有することで、一人ひとりが気付く。気付いて意識が変わると、少しずつ行動も変化していく。一人ひとりの行動変容によって、最終的に世界が変わっていく。SDGsは「世界の状況を見える化する」ためのツールであるといえる。
社会が変われば、ビジネスの存在意義や在り方も変わって来る。これまで常識とされていたビジネスの領域が、今まさに変化しているのである。SDGsをビジネスに組み込み始めている企業は、この変化の流れのなかで新たなビジネスモデルを構築しようとしている。
投資家が企業の成長可能性として着目する「SDGs」
「CSRの観点からも、『SDGs』はホットなテーマです」凸版印刷でCSRコミュニケーションを担当する今津さんはいう。
2015年にSDGsが採択された後、企業ではSDGsに照らし合わせた事業活動の整理、棚卸しが進んだ。そして2018年度は、もう一歩進んだ取り組みとして、経営戦略へSDGsの落とし込みが始まったという。
なぜこのような動きが出ているのか。その背景として、機関投資家もSDGsに着目し始めたことにある。その顕著な例が、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)である。
GPIFは日本の厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う独立行政法人であるが、一方で世界最大規模の機関投資家である。そのGPIFが、「持続可能な投資の促進のため、企業評価基準としてSDGsを重視する」と宣言したのである。
機関投資家は、「企業が『SDGs』に力を入れることは、未来のビジネス機会を捉えていることであり、事業拡大の可能性があるため、投資機会が増加する」と判断しているという。
~ビジネスが未来に与える影響をカードゲームで体感~
ビジネスの新潮流を知り、イノベーションのタネを考える
稲村 健夫
一般社団法人イマココラボ代表理事/コンセプトデザイナー。
1999年からベンチャー企業の創業や、海外現地法人の立ち上げなどビジネスの第一線で活躍する。2012年取締役副社長兼COOとして株式会社ドアーズの創業に参画し、同社の海外研修プログラムが「日本の人事部 HRアワード」でプロフェッショナル部門の最優秀賞受賞を受賞するなど、先進的な人材開発手法の開発に貢献した。20代からずっと関心のあった社会システムの在り方にこそ、ゲーム×ポジティブアプローチが機能すると考えて、カードゲーム「2030SDGs」を共同開発。2016年一般社団法人イマココラボを設立。
村中 剛志
一般社団法人イマココラボファウンダー/真理の探究者。
大学卒業後、日本アイ・ビー・エムに 入社。金融系ITエンジニア、役員補佐を経て、IBMビジネスコンサルティングサービスに参画し、翌年年間最優秀賞を受賞。2009年から中国上海で1,000人の中国人をリーダーとして率いる。その後新たなマネジメント、経営、社会を創造する可能性を求めて、2013年に合同会社CCCを設立。企業の経営層やマネージャー向けに意識変容を促すリーダーシップ育成などを行う。2016年、仲間と共に一般社団法人イマココラボを設立。著書『「先読み力」で人を動かす』(2008年出版)は、5万部を超えるベストセラー。韓国、台湾でも出版される。
今津 秀紀
凸版印刷株式会社情報コミュニケーション事業本部トッパンアイデアセンターマーケティング企画部部長。
1999年から環境コミュニケーションを担当し、現在は「サステナビリティ」(持続可能性)を軸にCSR、企業ブランド、環境・社会貢献活動などのコーポレートコミュニケーションを担当している。企業情報サイトランキング1位、エコサイトランキング1位、CSR報告書アワード最優秀賞など、担当したクライアントで多くの実績を上げる。セミナー講演やステークホルダーダイアログのファシリテーター経験多数。
企業と社会フォーラム(JFBS)学会プログラム委員会委員(2011年~)。経団連21世紀政策研究所研究委員(2013年)。
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