アートディレクター成田久の「クリエイト★の時間」
ターゲットによってキャッチー度を変えていく
「あるとき、男性向け化粧品『uno FOG BAR』のディレクションを担当することになりました。僕は入社以来、女性向け化粧品をずっとやっていたので、まさか男性向け化粧品を担当するとは思っていなく、驚きとともに嬉しかったのを憶えています」。
従来おこなっていた女性向けのクリエイティブから一転、男性向けのクリエイティブを担当することとなった成田さんが特に意識したのは、男性向け商品と女性向け商品のプロモーションにおけるキャッチ―度の違いだ。
「女性向け商品の場合は、シズル感とかのイメージが大事になってきます。女性には“事件”はいらないんです。要するに、女性は美しくきれいになれるニュースは知りたいけど、びっくりするようなことは自分には関係ないと思ってしまうんです。ところが、男性の場合は逆で、面白いって思えることに興味を持ってもらえる。女性と男性では、そうしたキャッチー度に対する価値観にギャップがあるので、男性向け化粧品を担当することになって、よりエンターテインメントを演出することを意識してディレクションしていきました」。
クリエイティブの可能性を広げるための個人活動
成田さんは、資生堂のクリエイションだけでなく、個人でも活動をおこなっている。2013年には、個人のクリエイションの場として、「キュキュキュカンパニー」を御徒町に立ち上げた。そのきっかけは、展覧会で発表した作品を、展覧会が終わっても見てもらいたいという想いからだった。
「キュキュキュカンパニーは、自分の販売所兼仕事場として御徒町に立ち上げました。もっと僕の作品を世界中の人に見てもらえるように、ウェブサイトも開設しているので見てくださいね。こうした個人の活動は、仕事のクリエイティブにも必要なアイデアやネットワークも広がって、新しいものを生みだす糧となる、とっても大切な活動です」。
成田さんは、仕事と個人の活動を両立できていないときは、「時間の使い方」を改めて見直すべきと話す。
「今日も7時半くらいに出社して仕事していたんですけど、朝の時間を大事にすると、脳の使い方も変わってきたりしておすすめです。以前は毎週、朝に英会話の勉強していました。やりたいことが多くても時間は有限なので、いかにして自分のスケジュール管理をしていくかが、仕事と個人の活動の両立には必要。僕の場合、スケジュール管理は趣味の域に入っていますかね」。
イベントの途中には、アイスブレイクとして「キュキュキュカンパニー」が手掛けるグッズのプレゼントじゃんけん大会を開催するなど、終始大盛況のうちにイベントは幕を閉じた。
成田さんの話を聞いた参加者からは、「仕事に対する考え方について多くの気づきを得られた」「クリエイトに対する熱量がすごく伝わってきた」「一つの仕事の細部にまで気を遣い、妥協しない成田さんの姿勢に魅了された」など、多くの感想が寄せられた。
<Apr.2017 小出 伸作(WAO事務局)>
アートディレクター成田久の「クリエイト★の時間」
成田 久
アートディレクター・アーティスト。多摩美術大学・東京藝術大学大学院を修了し、1999年資生堂入社。宣伝・デザイン部に所属。アネッサのCMで蛯原友里を起用し、楽曲にBONNIE PINK「A Perfect Sky」を使用したことで一躍話題に。そのほかマシェリやマキアージュ、unoなど多彩なブランドのアートディレクションを担当。更にTSUBAKIで初めて男性キャストとして福山雅治を起用するなど、資生堂商品のブランディングに大きく貢献する。
-成田 久cueのププププレゼン力
https://www.alphapolis.co.jp/business/entry/47/
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