EVENT REPORT

Apr 2019

~自分たちの知らない世界を知る~
難民の人たちと話して知る、自分たちの知らない日本とは

ニュースでよく耳にする「難民問題」。日本人にとっては遠いことのように感じるが、実は日本国内にも「難民」と呼ばれる人たちが数多く存在する。しかし、その事実や彼らの実情について知っている人はほとんどいないのではないだろうか。

今回のイベントでは、以前もWAOのイベント(https://wao-koishikawa.com/reports.php?rid=36)にご登壇いただいたNPO法人WELgee 代表の渡部さんと、実際に4名の難民の方々にお越しいただき、交流型のワークショップを開催した。

実は日本にもたくさんいる“難民”

実は日本にもたくさんいる“難民”

学生時代にNGOの駐在員として、バングラデシュで自国の国家に弾圧されている先住民族、ジュマと生活を共にし、その後もUNDP(国連開発計画)メンバーとして現地で合計約2年間を過ごした渡部さん。

「日本にいる時は想像もしなかった『自分が信じていた、自分の生まれた国の国家から弾圧されている国民』がいるという事実を現地で目の当たりにし、複雑な感情を抱いたまま帰国しました」。

そんな渡部さんは帰国後、日本にいる難民の人たちに関心を持ち、彼らと話をしてみると、私たちがテレビで見たりインターネットで知った難民の情報とは違った側面が見えてきたという。

彼らに故郷ではなにをしていたのか尋ねてみると、元NGO職員やITの専門家、歌手、美容師や保育士、薬剤師、宇宙研究者、ジャーナリスト、国営テレビ局のマネージャーなどなど…多様な能力を持った人たちがたくさんいたのだ。

「日本にいる難民の人たちは、能力があっても仕事に就くことが難しい状況にあります。そのため、お金がなく知り合いもいないために、たった1杯のコーヒーでファストフード店で時間をつぶしたり、山手線を何周もしてただ一日が過ぎるのを待っているんです。能力のある人たちが、こうした毎日を過ごしていることは本当に勿体ないと思いました」。

しかし、渡部さんが周りの人に難民の話をすると、“犯罪予備軍と呼ばれている人たち”、“難民の生活保障をする前に、日本人でも困っている人がいるのでは?”など否定的な意見も聞こえてきた。しかし、そうした否定的な意見よりも圧倒的に多かったのは、「日本に難民っているの?」という疑問の声だったという。

「難民について否定的な言葉を発した人を“こうあるべき”と責めるより、難民がいることを知らない人たちと難民の人たちが一緒になって考えた方がなにか見えてくるのではないかと思い、2016年にWELgeeを立ち上げました」。

この後、渡部さんから『難民問題の基礎知識』ということで、世界や日本における難民の状況、WELgeeの理念や取り組みについて教えていただいた後、今回同行してくれた難民の方々の自己紹介へと移っていった。

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~自分たちの知らない世界を知る~
難民の人たちと話して知る、自分たちの知らない日本とは

渡部 清花

NPO法人 WELgee代表 / 東京大学大学院生
1991年、静岡県生まれ。​​様々な背景を持つ子どもたちが出入りするNPOの実家で育つ。大学時代はバングラデシュの紛争地にてNGOの駐在員、国連開発計画(UNDP)のインターンとして平和構築プロジェクトに携わった。2016年​に​​​日本に来た難民申請者の社会参画とエンパワーメントを目指す​WELgeeを設立。2018年NPO法人化。空き家活用型シェアハウス事業や経験・スキルを活かした就労事業に取り組む。自身も難民と暮らす。英語より得意なのはバングラデシュの先住民族語(日本人で2人しか話せない言語)!
グローバル・コンソーシアムINCO主催『Woman Entrepreneur of the Year Award 2018 (女性起業家アワード2018)』で、グランプリを受賞。Forbes 30 under 30のJapanとAsia にて選出。東京大学大学院 総合文化研究科・人間の安全保障プログラム 修士課程在学中。トビタテ!留学JAPAN一期生。内閣府世界青年の船事業第24回代表青年。

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