~ビジネスが未来に与える影響をカードゲームで体感~
ビジネスの新潮流を知り、イノベーションのタネを考える
チームのイノベーション力を高める「心理的安全性」
「イノベーションの可能性を高める成功要因が存在します」。
イベント冒頭にそう話す村中さんは、Googleが2012年に実施した、労働生産性向上計画「プロジェクト・アリストテレス」について説明してくれた。
このプロジェクトは、Googleが莫大なコストと約4年の歳月をかけて、生産性が高いチームの成功要因を調査したものである。その中で浮かび上がった成功要因は、「心理的安全性」であった。
なにか発言をしようと思った際に「バカにされたり叱られたりしないだろうか」という不安感があると、発言をためらってしまう。一方でこのような不安感が少ないほど、より本音の話、本質の話ができる。この状態を、心理学では「心理的安全性」と呼ぶ。
この調査からもわかるように、人は常識という既定の枠から外れることに「恥ずかしさ」「不安」を感じ、セルフチェック機能が働いて足を止めてしまう傾向にある。そこをあえて枠から飛び出てみることが、イノベーションを生む第一歩であるという。そして、枠から飛び出してみるための後押しは「心理的安全性」、すなわちチームの関係性が重要になるというのだ。
今回のイベントでは、SDGsをキーワードとしてビジネスの枠を飛び出し、イノベーションを起こすためのタネを考えていく。
17の持続可能な開発目標(SDGs)とは
2015年9月、ニューヨーク国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」で、150を超える加盟国によって「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。アジェンダには、「人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標」が掲げられている。この17の目標と169のターゲットが、「Sustainable Development Goals /持続可能な開発目標」、通称「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」である。
SDGsには、「貧困」や「飢餓」など開発途上国に対する支援に見えるものから、「エネルギー」や「働きがい」など開発先進国にも関係するテーマ、さらには「気候変動」や「海」「陸」「平和」など地球全体で取り組むべきテーマまで幅広く設定されている。しかしここで重要なのは、個々の内容を正確に読み解くことではないと、稲村さんは話す。
「重要なのは、『SDGs』が、“なぜ”私たちの世界で必要なのか、そして、私たちの生活や企業活動がどのように変化する“可能性”があるのかを知ることです。これらを知ることで、具体的になにをすればよいか、なにができるのかが見えてきます」。
この“なぜ”と“可能性”を知るために、SDGsの世界観を体験するワークショップを実施した。一般社団法人イマココラボが開発したカードゲーム「2030SDGs」である。
約30分間のゲームは大いに盛り上がり、参加者は自分たちの動きによって世界が変容していく過程を体感した。そのなかでは様々な気付きがあり、ゲーム後の参加者同士の振り返りでも、なかなか会話は途切れなかった。
~ビジネスが未来に与える影響をカードゲームで体感~
ビジネスの新潮流を知り、イノベーションのタネを考える
稲村 健夫
一般社団法人イマココラボ代表理事/コンセプトデザイナー。
1999年からベンチャー企業の創業や、海外現地法人の立ち上げなどビジネスの第一線で活躍する。2012年取締役副社長兼COOとして株式会社ドアーズの創業に参画し、同社の海外研修プログラムが「日本の人事部 HRアワード」でプロフェッショナル部門の最優秀賞受賞を受賞するなど、先進的な人材開発手法の開発に貢献した。20代からずっと関心のあった社会システムの在り方にこそ、ゲーム×ポジティブアプローチが機能すると考えて、カードゲーム「2030SDGs」を共同開発。2016年一般社団法人イマココラボを設立。
村中 剛志
一般社団法人イマココラボファウンダー/真理の探究者。
大学卒業後、日本アイ・ビー・エムに 入社。金融系ITエンジニア、役員補佐を経て、IBMビジネスコンサルティングサービスに参画し、翌年年間最優秀賞を受賞。2009年から中国上海で1,000人の中国人をリーダーとして率いる。その後新たなマネジメント、経営、社会を創造する可能性を求めて、2013年に合同会社CCCを設立。企業の経営層やマネージャー向けに意識変容を促すリーダーシップ育成などを行う。2016年、仲間と共に一般社団法人イマココラボを設立。著書『「先読み力」で人を動かす』(2008年出版)は、5万部を超えるベストセラー。韓国、台湾でも出版される。
今津 秀紀
凸版印刷株式会社情報コミュニケーション事業本部トッパンアイデアセンターマーケティング企画部部長。
1999年から環境コミュニケーションを担当し、現在は「サステナビリティ」(持続可能性)を軸にCSR、企業ブランド、環境・社会貢献活動などのコーポレートコミュニケーションを担当している。企業情報サイトランキング1位、エコサイトランキング1位、CSR報告書アワード最優秀賞など、担当したクライアントで多くの実績を上げる。セミナー講演やステークホルダーダイアログのファシリテーター経験多数。
企業と社会フォーラム(JFBS)学会プログラム委員会委員(2011年~)。経団連21世紀政策研究所研究委員(2013年)。
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