~“ありのまま”の水中世界を伝え続ける~
水中写真家が切り撮る『自然』の魅力
ただただ“魚が好き”
「僕は、とにかく魚が大好きなんです」。
そう話す古見さんは、高校生の頃に家で熱帯魚を飼っており、毎日魚を見たいという想いから、写真家になる前は本州最南端の和歌山県串本町でスキューバダイビングのインストラクターとして働いていた。
「海の中には熱帯魚屋では見ることのできない魚たちが溢れていて、そうした出会いに毎日幸せを感じながら潜っていました。そのうちに、『この子たちをちゃんと撮れるようになったら楽しいだろうな』と、自然と水中写真というものを撮りたいと思うようになっていったんです」。
給料を前借りして撮影機材を揃え、魚たちを撮り続けた古見さん。フイルムや現像の費用もかかり、毎月手元にお金はほとんど残らなかったが、海に潜って写真が撮れるというだけで嬉しく、日々満たされていたと話す。そんなある日、転機が訪れる。
「フォトコンテストに応募した写真が賞に選ばれて、それ以降、雑誌や図鑑への写真提供の依頼が入るようになりました。そこで初めて写真がお金になることを知ったんです。それですごく短絡的に『あれ、じゃあ写真で食べていけるんじゃないかな?』って、今思えばすごい勘違いをして、写真家になることを決めたんです(笑)」。
2003年、こうして古見さんの水中写真家としての人生が始まった。
~“ありのまま”の水中世界を伝え続ける~
水中写真家が切り撮る『自然』の魅力
古見 きゅう
東京都出身。本州最南端の町、和歌山県串本にて、ダイビングガイドとして活動したのち写真家として独立。現在は東京を拠点に国内外の海を飛び回り、独特な視点から海の美しさやユニークな生き物などを切り撮り、新聞、週刊誌、科学誌など様々な媒体で作品や連載記事などを発表している。
2015年にはウミガメを題材とした写真絵本「WAO!」(小学館)、世界中の海の情景をまとめた「THE SEVEN SEAS」(パイインターナショナル)、ミクロネシア連邦チュークの海底に眠る沈船を、9年に渡り記録したドキュメンタリー写真集「TRUK LAGOON」(講談社)の全くテーマの異なる3冊を上梓した。
日経ナショナルジオグラフィック写真賞2016ネイチャー部門最優秀賞受賞。
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