~The Future with~
21世紀の移動を考える
Service 1: キャンパス・シェアリングマーケット
●ユーザーインサイト/願望
いまやSNSなどのオンライン上でのつながりは当たり前。その一方で、オンラインのつながりだけでは満足はできず、新たなコミュニティとのつながりを求めている。
●ユーザーインサイト/制約となる願望
新たなコミュニティに関わりたい願望はあるが、知らないコミュニティに参加することへのリスクを考えると躊躇してしまう。新たなコミュニティに関わるにも最低限の安全は確保したい。
●ユーザーインサイトから導き出したサービス
安心のなかで、新たな交流を生む場
「キャンパス・シェアリングマーケット」
●サービス創造におけるプロセス
①:最低限の安全を確保するために、リスクヘッジされた空間で、共通の趣味を持つ人のコミュニティをつくっていくことを検討。リスクヘッジされた空間としては、大学のキャンパスを想定。共通の趣味については、「お金がかかるから、やりたくてもできないスポーツがある」という学生の声をきっかけに、スポーツにまつわるサービスを想定した。
②:現在、オークションサイトやフリマアプリなどを利用した個人間でのモノの取引が盛り上がっている。その一方で、学生からは「思い入れがあるモノを、知らない人に売ってしまうことに罪悪感がある」との話があがる。そうした意見から、従来のモノの売買で完結するサービスではなく、モノにまつわるストーリーまでも共有できるサービスを検討。
●サービスの概要
日々通う「リスクのない」キャンパス内で「交流の無かった人たち(新しい交流) 」から、スポーツ用品を所有者の思い入れとともにシェアする機会の提供。
モノとそのストーリーが人から人に移る交流により、価値が積まれていくシェアマーケットを、一つのコミュティとして捉えていくことによって、モノだけではなく人の移動までも発生させていく。さらに、今後は農場や廃校をシェアマーケットとして利用していくことで、人の移動をきっかけとした新たなビジネス創出を目指していく。
Service 2: 乗りタメ案内
●ユーザーインサイト/願望
「移動時間をどうしたいか」の質問に対して、学生、社会人の大半が“移動時間を無駄にしたくない”、“有意義な時間を過ごしたい”と回答した。
●ユーザーインサイト/制約となる願望
移動時間を有意義に使いたいが、決められた空間と時間のなかでやれることは限られている。移動は目的地に着くための手段であり、暇をつぶして過ごすことが当り前だという概念に捉われてしまっている。
●ユーザーインサイトから導き出したサービス
タメになるエンタメ タメにする時間
「乗りタメ案内」
●サービス創造におけるプロセス
①:そもそも、「移動=手段」という概念からは、時間を消費するだけの発想しか生まれないのではないか。そうであれば、移動そのもの概念を「手段」から「目的」に変えていくことによって、移動時間を有効活用した新たな市場を創出できないかと考えた。
②:目的地に到着するまでの時間や運賃などの情報を提供する乗換アプリのようなサービスでは、移動を「目的」とするニーズには対応できていない。
●サービスの概要
移動時間内にできる、個人にあったエンタメコンテンツの提供アプリ。ビジネスやヘルスケア、スポーツ、教育など、ユーザーが望むコンテンツを移動時間内に合わせた編集をおこない提供していく。こうしたサービスの提供によって、消費者が持つ移動の概念を「手段」から「目的」へと醸成させていく。
また、移動を「目的」とした市場の盛り上がりによって、リアルでのコンテンツ提供も検討。たとえば、フィットネス車両が存在し、移動中にリアルに体を鍛えることができるという「目的」を達成するなど。現在、電車などの移動の際、静かにしてないといけないという固定観念があるが、移動を「目的」とすることで、固定概念から解き放たれた新たな市場が創出できるのではないかと考える。
Service 3: リアルバーチャルトラベル
●ユーザーインサイト/願望
SNSをはじめとした「パーソナルメディア」を持っているスマホ世代は、自分を編集し、発信することで人に良く見られたいといった願望を持つ人が多い傾向にある。
●ユーザーインサイト/制約となる願望
自分を発信し、人に良く見られたいと思っている一方で、失敗などの恥ずかしい経験は人には見せたくないという意識が強い。そのため、やり直しのきかない初めての体験については非常に慎重になってしまう。
●ユーザーインサイトから導き出したサービス
旅行体験のリハーサル「リアルバーチャルトラベル」
●サービス創造におけるプロセス
①:自分のメディアを持ち、世の中に発信できるスマホ世代のライフスタイルは、自分を主人公とする舞台の演出家や脚本家になっている感覚を生んでいるともいえる。そして、その感覚は、リハーサルのない一発勝負の舞台、すなわち、やり直しのきかいない初めての体験をすることに躊躇してしまう原因の一つともなっていると考え、その障壁を取り除くことができないかと検討。
②:初めて訪れる場所、初めて会う現地の人など、こうした要素が含まれる旅は、その場に行ってみないとわからないことがたくさんあり、不安にもなる。そこで、旅に出る前に、やり直しのきくリハーサルができる環境を提供していくことにも需要があるのではないかと考えた。
●サービスの概要
現在、インターネットを通して、旅の行く先の状況を見ることはできるが、その旅で出会う人たちなどの細かな情報まではわからない。そこで検討したのが、同じ時期に同じ場所で体験している者同士から旅先の人たちなどとのコミュニケーションまでも可能とした疑似体験を提供するサービス。
現在のVR技術の進化からも、こうした疑似体験はリアルな旅のリハーサルとして活用することも可能であり、旅行商品を補完するサービスにもなり得る。また、技術の発展によっては、移動を伴わない新しいコンセプトの旅の提供が可能となり、旅行業界に限らない新たな旅の市場創出にもつながっていく。
Service 4:“刹那充”飛行機
●ユーザーインサイト/願望
電車での移動中、一人で暇をつぶして過ごすより、皆で過ごす方が楽しい時間が過ごせる。そうした意見から、移動に対して人は、皆で時間を共有する「その場限りの楽しさ・充実=刹那の充実」を求めている。
●ユーザーインサイト/制約となる願望
知り合いに限らず、移動という空間を共にしている人たちと仲良くなりたい気持ちはあるが、相手の素性を知らない状況において、誰にでも話かけることなんてできない。
●ユーザーインサイトから導き出したサービス
エアマッチングが生み出す「“刹那充”飛行機」
●サービス創造におけるプロセス
①:移動手段のなかで、特に飛行機について、隣の人と話してみたいとの意見があがる。その理由は主に2つ。1つ目は、他の移動手段に比べ移動時間が長時間となることから、退屈な時間を過ごしてしまうこと。2つ目は、同じ目的地に向かうということは共通の話題が多いのではないかということ。このような理由から飛行機での移動をHAPPYにすることができないかを検討。
②:現在、飛行機の座席は ファースト・ビジネス・エコノミークラスと価格によってサービスが分かれているが、果たしてそれはユーザー全てが望む分け方なのだろうかと疑問を抱く。より快適な移動を過ごすために、価格別だけではなく、人との交流ということを前提としたサービスを考えることはできないかと考えた。
●サービスの概要
現在、価格によって分かれている飛行機の座席を、コミュニティによって分けていくサービスを検討。仕事ゾーン、ボランティアゾーン、食べ歩き好きゾーンなど旅行の目的に該当する座席ゾーンを用意し、消費者が自由に選択できることによって旅行者同士の交流を生んでいく。移動のなかでこうした新たなコミュニティを生みだすサービスによって、従来の移動に「+αの価値」が付加され、新たなビジネスチャンスへと発展していく可能性がある。また、こうした交流は、移動後の新たな移動を生むことにもつながっていく。
<Mar.2017 小出 伸作(WAO事務局)>
PROJECT
The Future with
WAO-KOISHIKAWAで定期的におこなっている“人中心型の発想”から未来の市場やサービスを創造していくプロジェクト。従来の業界概念に捉われず、賛否両論が生まれる自由な発想を目的とし、テーマに沿ったステークホルダーとの対話型ワークショップを中心にアウトプットを導き出していく。講師にはWAOサポーターをはじめとした様々な有識者を迎え進行。
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