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Dec 2018

視点をスイッチして考えの出発点を変える

森山 和彦( 株式会社CRAZY  代表取締役社長 )

熱源のある人材のインスピレーションを活かす

企業が新事業創出に取り組む上で、組織として大事にすべきことは何だと思いますか

企業が新事業創出に取り組む上で、組織として大事にすべきことは何だと思いますか

企業が新事業創出に取り組む上で、組織として大事にすべきことは何だと思いますか

企業が新事業創出に取り組む上で、組織として大事にすべきことは何だと思いますか

大きく二つあると思っていて、一つは「公開空地」があること。もう一つは「大胆な発想を取り入れる」ことです。

公開空地とは、天井がないということ。企業の中に、全く天井がない、制限が一切ない場所が必要だと思っています。なぜなら当事者しか得られないインスピレーションを活かすということがすごく大事で、たとえば5000万円かかるとなっても『やらせてやる!』と言える人が一人でも二人でもいれば、すごくうまくいくと思います。なので、胆力のある役員の方などにぜひやっていただくといいのかなと。僕自身、もう少し事業が広がっていったら社内で公開空地をつくろうと思っています。「あとは自由にやってくれ」というのも必要なのかなと思っているので。

二つ目の、大胆な発想を取り入れるというのは、文字通りそういう発想を持っている別のチームと一緒になってやってみる、ということです。これはオープンイノベーションの一番の根幹とも言われていますよね。

ただ、この二つのどちらかをやればいいというわけではなく、うまくミックスすることが重要だと思います。面白いチームと組んだとしても、ちょっと天井あるところだと「いや、それは無理なんじゃないかな」と止まってしまうので、ある程度の余地があって、そういう方々と組んでいくというのが大事かなと思いますね。

また、一言で「新事業をつくる」と言っても、目的によってこの二つのバランスは異なると思います。

たとえば、社内から新しい事業を生んでいく人材やカルチャーを育てたいというのであれば、熱源を持った人たちに公開空地を与えることに重きを置く必要がありますが、そこにこだわらず、とにかく柱となる事業をつくることを求めるのであれば、既に技術や知見のある優秀な企業を買収した方が効率的です。ただ、いずれも資金的に割と大きな投資をしなければ、恐らく皆さんがイメージしているような規模のビジネスグロースはないでしょう。

なので、一番やりたいことは何なのか、しっかりと目的を分けて考えた方が良いと思いますね。それが自分たちでもはっきりしていない状態で、なんとなく“新規事業創出”と言っているところが多い気がします。

いずれにしても、人材の見極めは非常に重要になります。新事業をつくる人というのは、本当に熱源がありますし、独特です。そういった人材を見つけ、つぶさないようにいかに公開空地を与えるか…マネジメントの力が大きく問われてくるところですね。

ADVISE

新事業創出に向けた森山さんからのメッセージ

目的はイノベーションではなく、人や社会を動かして現実を変えること

視点をスイッチして考えの出発点を変える
視点をスイッチして考えの出発点を変える

最後に、森山さんに新事業創出に向けたアドバイスを伺ってみた。

「新しい事業をつくっていくためには、個人として純粋に興味があるインサイト、つまり熱源を見つけることがなにより大切です。まず熱源を見つけて、そこから市場があるかどうか見ていくやり方でも良いですし、逆に市場から見ていって、チャンスがあるなと思った後に自分の情熱を徹底的に乗せるというやり方でも良いと思います。イノベーションは目的ではないんですよ。大事なのは人や社会を動かしてなにか現実を変えるということであって、必ずしもイノベーティブである必要はありません。ただ、自分たちが『これいるよね』と思っていることを証明して人や社会を動かすためには、違う視点からものを見ることや、違った哲学が必要です。そこを徹底的に考えることが私は大事かなと思っています。」

創業当時、実に一年という時間をかけてCRAZYのビジョンをつくり上げたという森山さん。彼の熱源と、変えたい現実とはいったい何なのか。

「僕は、今の“世界”を変えたい。そもそもは『この世界はどこへ向かっているんだろうか?』という問いから始まっていて、世界中のあらゆることを調べれば調べるほど、地球規模で問題が起きていると感じました。その時に、好循環で回る未来に向かうような仕事がしたいと思ったんです。それを高速で拡張することができたとしたら、世界全体は直接変えられなくても、かなり大きな世界の一部になれるかもしれないと考えたんです。」

森山さんが2000社、100万人の雇用創造を目指すことを公言している背景には、こうしたストーリーがあった。そして、本質的な問いを繰り返すことによって見出した彼独自の哲学は、いまやCRAZYの文化として根付き、社員一人一人にしっかりと浸透している。CRAZYはこれからも、更なる成長を遂げていくに違いない。次はいったいどんな驚きを見せてくれるのだろうか。


<Dec.2018 鈴木 潤子(WAO事務局)>

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PROFILE

森山 和彦(株式会社CRAZY 代表取締役社長)

大学卒業後、新卒で勤めた人材コンサルティング会社在籍中に「世界の問題を解決したい」という思いにかられ、半年間答えを探し続ける。ある時「地球が喜ぶシゴトがしたい」というインスピレーションが湧き上がり、起業を決意し退職。世界を知るために毎日独学で世界経済から、環境問題、国際問題などを徹底的に調べる日々を過ごした。その後、世界放浪期間を経て2012年7月に株式会社UNITED STYLE(現CRAZY)を創業。
経営の第一優先を健康とし、毎日手作りの自然食を提供する他、全社員で世界一周旅行を行うなどユニークな経営を実施。最近では、日本初の睡眠報酬制度の発案・導入で世界各国のメディアからそのユニークな経営手法が注目を浴びる。2018年「働きがいのある会社」及び「働きがいのある会社 女性ランキング」初エントリーにてダブル受賞を果たす。

◆株式会社CRAZY
https://www.crazy.co.jp/

◆CRAZY WEDDINGが手がける新サービス 『IWAI OMOTESANDO』(2019年2月オープン予定)
https://iwai-crazy.jp/


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