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Aug 2018

身近な“不便”や“不満”が事業のきっかけになる

塩崎良子( 株式会社TOKIMEKU JAPAN  代表取締役社長 )

実現するために考えている戦略はありますか?

実現するために考えている戦略はありますか?

(塩崎氏)“ポップ感”を大事にしてやっていきたいなと思っています。バイヤーをやっていた当時から、目立たないものをポップに見せてメジャーにするということが楽しくて。今回も、暗いイメージのある介護・ケアの世界を一気にメジャーなところに引き上げるためには、やっぱりポップ感というか、明るく楽しい要素が必要。だから病院に店舗を作った時も、そこに来た患者さんが惨めに見える空間は作りたくないと思って作っていましたし、それは店舗に限らず商品やパッケージにも共通しています。

病気になったことで非日常になってしまったものを、元あった日常に近づけるだけで終わらずに、もう一段階先の、わくわくするような要素も提供したい。ディズニーランドのような、良い意味での非日常感を提供できるブランドでありたいと思います。そうすれば、他にはない地位を確立して、必然的に注目されるようになっていけると信じています。

ADVISE

新事業創出に向けた塩崎さんからのメッセージ

身近なところに目を向け、難しく考えず動いてみる

身近な“不便”や“不満”が事業のきっかけになる

塩崎さんに新事業創出に向けたアドバイスを伺ってみた。

「ありきたりかもしれないですが、まずは“動いてみる”ことが大事かなと思いますね」と話す塩崎さん。

「新事業立ち上げの最初の方って、人に話をしなきゃいけなかったり、恥ずかしい思いをすることがあったとしても、自分が苦労すれば済むだけのことがほとんどだと思うんですよね。だから少しでもいいと思ったら、あまり難しく考えずに、さくさくやってみるのがいいんじゃないのかなと思います。動いてみて、失敗してみてっていうトライ&エラーの繰り返しというのが本当に重要だと思うので」。

塩崎さんは起業のためのセオリーを学ぼうとビジネススクールに通ったが、実際に事業を進めていく上で、セオリー通りにいくことはほとんどなかったという。だからこそ、小さいうちから動いて失敗から学ぶことの重要性を述べてくれたのだろう。

「あと、私はよく『あなたってそういう強烈な原体験があるから、そういう事業ができるんでしょ』と言われることが多いんですが、原体験がない人なんていないんです。全く平和に生活している人なんていなくて、みんな人生において、なんらかうまくいかなかったり辛い思いをしているはずなんですよね。『特別な原体験がない!』って思い込んでいるだけで、『これちょっと不便なんだけど』とか『ちょっと不満なんだけど』っていうことが、私生活でもなにかしらあるはず。普段生活しているなかで、自分の身近なところや、身近な人に目を向けてみると、今まで見えていなかった事業のタネが意外とあるんじゃないのかなと思います」。

闘病生活中に自らが感じた不満を不満で終わらせずに事業へと昇華させた塩崎さん。そこには彼女がそれまでの人生で大切にしてきた、大好きなファッションとおしゃれな要素が詰め込まれている。

―病院は、誰もが人生で一度は必ずお世話になる場所―

彼女が言うように、誰にとっても無縁ではないその場所が、明るく、楽しい空間になれば、いまよりもたくさんの笑顔が溢れる場所になるだろうことは想像に難くない。

その世界を実現すべく、国内での事業拡大にとどまらず、海外への展開も視野に入れて邁進する塩崎さんの活躍から、ますます目が離せない。



<Aug.2018 鈴木 潤子(WAO事務局)>

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PROFILE

塩崎良子(株式会社TOKIMEKU JAPAN 代表取締役社長)

株式会社TOKIMEKU JAPAN、代表取締役社長。2006年 アパレル会社を起業。その後、セレクトショップ(中目黒)、リース専門店(目黒)ドレスレンタルショップ(六本木)等、数々のショップを経営。2014年1月、若年性乳がんを発症。その後、闘病に専念のため、会社を閉める。
2015年6月、主治医の提案で、がん患者の為のサイバーズFASHION SHOWを企画、運営。多くのメディアに取り上げられる。2016年7月、株式会社TOKIMEKU JAPAN設立。2017年1月、ケア・介護用品ブランド『KISS MY LIFE』を立ち上げる。

株式会社TOKIMEKU JAPAN(https://www.tokimeku-japan.com/)
KISS MY LIFE オフィシャルECサイト(http://www.kissmylife.jp/)


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