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Mar 2017

挑戦の伝播が、世界の未来をつくる

山﨑敦義( 株式会社TBM  代表取締役 )

石灰石を主原料とし、紙やプラスチックを製造できる革命的新素材「LIMEX(ライメックス)」。通常の紙は大量の水と木から作られるが、「LIMEX」ではそうした原料を製造において一切使用しないエコロジーな素材である。

「LIMEX」は、世界中どこにでもある石灰石を主原料として製造されることから、天然資源の乏しい日本のみならず、水資源の乏しい国でも自給できるといった大きな可能性を持つ素材として、世界中から期待されている。

この「LIMEX」を製造・販売する株式会社TBM、代表取締役の山﨑敦義(やまさき のぶよし)さんは「日本の技術で、この星をいい方向に変えていく」をミッションに日本発の新素材でグローバルな挑戦を続ける。

可能性を信じ、生まれた「LIMEX」

「LIMEX」誕生のきっかけとなるストーンペーパーとの出会いを教えていただけますか。

「LIMEX」誕生のきっかけとなるストーンペーパーとの出会いを教えていただけますか。

(山﨑氏)私が34歳の時に知人から、水や木を使わずに石灰石でつくる紙があることを聞いたのがストーンペーパーとの出会いです。当時は、多くのエコロジー製品が注目されていたので、ストーンペーパーの話を聞いて興味を持ちました。

そのころ私は、既にいくつかの事業を始めていましたが、もっとグローバルに貢献できる事業を起こしたいという想いを持っていました。そうした想いとストーンペーパーに感じた可能性が行動につながり、台湾のメーカーに直接交渉をおこない、ストーンペーパーの輸入元として事業をスタートさせました。

可能性を信じ、生まれた「LIMEX」

ストーンペーパーの輸入元から、自社開発で「LIMEX」を製造・販売することになったきっかけを教えていただけますか。

(山﨑氏)当初は売れると思って輸入元になったんですが、始めてみると思ったようには普及していきませんでした。その理由は明確で、「品質」・「重さ」・「価格」がマーケットニーズに合っていないということでした。

ただ、このような課題を抱えるなかでも、多くの方からストーンペーパーが持つポテンシャルや意義について理解いただき、さらに、ストーンペーパーを通して、いままでの事業では出会うことのできない方々とも知り合うことができました。

多くの方々との出会いから、改めて私自身がストーンペーパーの持つ可能性を深めていき、‟この素材を広めていかなければならない”という想いが強くなっていきました。そのためには、課題を解決してマーケットニーズに応えていくことは絶対に乗り越えなければならなかったのです。

その後、台湾のメーカーのもとを何度も訪ね、日本からの期待の声も合わせて交渉を重ねましたが、課題の解決には至りませんでした。このまま輸入元を続けても、ストーンペーパーは普及しない、それならば自分たちがマーケットニーズに応えようと決意し、「LIMEX」という新たな石灰石を主原料にした素材の自社開発に踏み切りました。

責任感が武器となる

自社開発に踏み切ったことによって、従来の輸入元という立場以上に多くの課題があったと思います。そうした課題を乗り越える際に大切なことはなんでしょうか。

自社開発に踏み切ったことによって、従来の輸入元という立場以上に多くの課題があったと思います。そうした課題を乗り越える際に大切なことはなんでしょうか。

自社開発に踏み切ったことによって、従来の輸入元という立場以上に多くの課題があったと思います。そうした課題を乗り越える際に大切なことはなんでしょうか。

(山﨑氏)なんのためにやっているか、ぶれないことです。私には「LIMEX」という素材を世の中の当たり前にしたいという目標があります。

大量の水や木を使わず、世界の至る所にある石灰石でつくる「LIMEX」が当たり前に使われる素材になるということは、日本だけでなく、水資源の乏しい中東やアフリカなどでも生産することができ、グローバルに産業や雇用を生み出すことが可能となります。実際にいまも、そのような国の方からも期待の声をいただいており、その期待の声が私たち挑戦の源になっています。

それと、この挑戦をやり続けるなかで構築した組織のマインドを次の世代にも繋いでいかなければならないという気持ちを持っています。この挑戦は、これから何十年にもわたり、グローバルで大義ある事業に挑戦する会社であるためのベースになると理解しています。ですから私たちは決して諦めることはできません。

そして、こうした私たちの挑戦が注目されることによって、経済合理性がないと思われがちなエコロジーの事業でも、エコノミーとエコロジーを両立させて会社を成長させていけるんだということを証明し、私たちのようなプレイヤーが増え、世界が変わっていくきっかけをつくりたいと思っています。

そのような挑戦に対しての行動力はどこからくるのでしょうか。

(山﨑氏)それは、多くの人が「LIMEX」の可能性に賭けて、投資などのリスクを背負いながら応援してくれていることです。そうした人たちの意思決定の数々が私自身の責任感を鍛え、行動へと突き動かしてくれます。

力になってくれた人に対して、謙虚な心を持ち、感謝を伝えていくために、自分自身が果たさなきゃいけない責任を一つずつ果たしていったことが、結果的に大きな武器になっています。

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PROFILE

山﨑敦義(株式会社TBM  代表取締役)

1973 年生まれ。20 歳で中古車販売業を起業後、複数の事業起ち上げを行う。2011 年に株式会社 TBM を設立し石灰石からつくる革新的新素材『LIMEX(ライメックス)』を開発。現、株式会社 TBM 代表取締役社長。TBM は Times Bridge Management の略で、同社の理念である「時代の懸け橋となる企業」を表している。Japan Venture Awards2016「東日本大震災復興賞」受賞。2016年、米国アクセレーター Plug and Play 「世の中に最も社会的影響を与える企業-ソーシャルインパクトアワード」を受賞。テレビ東京系列「日経スペシャル カンブリア宮殿」500回記念番組に出演。


株式会社TBM(https://tb-m.com/)

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