EVENT REPORT

Aug 2021

ラグビーの“新しいファン”を生み出した丸の内15丁目PROJECT.の戦い方

2019ラグビーW杯を盛り上げようと、「ラグビー×街づくり」というコンセプトで立ち上がった『丸の内15丁目PROJECT.』。Web上に「丸の内15丁目」という架空の街を形づくり、現実世界の東京・丸の内エリアでは、ラグビーファンか否かを問わず楽しめるコンテンツを提供することで、新たなファン層を生み出すことに成功した。
今回のWAOでは、丸の内15丁目PROJECT.の立ち上げメンバーである三菱地所株式会社の高田晋作氏を迎え、同プロジェクトの戦い方についてお話しいただきながら、新たなファンのつくり方やムーブメントの起こし方のヒントを学んでいった。

プロジェクトをスタートするために会社を説得

プロジェクトをスタートするために会社を説得

中学1年の頃からラグビーを始めた高田晋作さん。大学時代は慶應義塾大学ラグビー部主将として創部100周年の年に大学日本一を経験している。2019年ラグビーワールドカップ(以降WC)東京大会が近づいていた2018年、高田さんはオフィスビルのリーシング業務をおこなっていた。当時日本におけるラグビー人気はそこまで高くなく、最終的にチケットが大量に余るのではといった情報もあり、大会の盛り上がりが心配されていた。

「自分もラグビーOBとして何とか大会を成功させたいという想いから、街づくりを通して貢献ができるのではないかと考えました。同じ想いを持つ社員と共に、プロジェクトをスタートさせる上で、まずは三菱地所がWCに取り組む意義について会社側に繰り返し説明をおこないました」。

その時高田さんたちが掲げた、三菱地所がWCに取り組む意義は以下の3つ。

1. WC期間中は世界中から多くの人が観戦のために来日する。特にヨーロッパではラグビーはイギリスを中心にとても人気が高い。三菱地所は、ロンドンを中心に海外にも拠点を多数展開しており、そこでの人の繋がりも含めてプラスになる

2. 国内では渋谷をはじめ各所で再開発が進む中、エリア間競争が激しくなっている。その状況下でWCという大きな大会を共に盛り上げることで、三菱地所の主戦場である丸の内エリアでの差別化戦略(ブランディング)になる

3. WCはオリンピックと異なり、1か所ではなく全国12都市で開催されるため、各地の地方創生につながる

最終的に会社からの承認が下り、三菱地所がWCのオフィシャルスポンサーに就任したことで『丸の内15丁目PROJECT.』がスタートした。

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ラグビーの“新しいファン”を生み出した丸の内15丁目PROJECT.の戦い方

高田 晋作

三菱地所株式会社 広報部 ユニットリーダー 兼 ラグビーマーケティング室長

1978年1月27日生まれ。東京都出身。大学時代は、慶應義塾大学蹴球部(ラグビー部)創部100周年に主将としてチームの大学選手権優勝に貢献。2000年NHK入社後、2005年三菱地所へ転職。2018年に、ラグビーワールドカップ2019プロジェクトの立ち上げを行い、三菱地所がW杯オフィシャルスポンサーに就任。ラグビーの様々な魅力を丸の内エリアから発信する、街づくり×ラグビーのプロジェクト「丸の内15丁目PROJECT.」などを通して、日本大会を盛り上げた。
・CM「丸の内のラグビー熱」がギャラクシー賞受賞(2019年)
・「丸の内15丁目PROJECT.」がグッドデザイン賞受賞(2020年)

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