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Dec 2017

挑戦者を支援するインフラを創る

山口豪志( 株式会社54  代表取締役社長 )

クックパッド、ランサーズの創成期に携わった経験を活かし、現在は、複数企業の新事業創出支援をおこないながら、個人投資家としても20社を超える企業に関わる株式会社54の代表取締役社長、山口豪志さん。

「自分は、多くの回り道をして事業を創ってきました。そんな自分が起業家の方々にできることは、自分の経験を伝えることによって、回り道をせずに事業を育ていくサポートです」。

そう話す山口さんは、2017年7月からスタートアップ企業への多面的な支援と起業家コミュニティを運営するプロトスター株式会社にCOOとして参画。“挑戦者を支援するインフラを創る”というミッションを掲げ、その実現のために日々奮闘している。

給水所の役割を誰かがやらないと

2017年から参画しているプロトスターでは、どのような活動をおこなっているのでしょうか。

2017年から参画しているプロトスターでは、どのような活動をおこなっているのでしょうか。

(山口氏)プロトスターは主に3つの活動をおこなっています。1つ目は、最初期の起業家に向けた支援です。これは「Star Burst」という事業コンテストを開催し、ここで採択した起業家に対し、資金調達支援やネットワークの提供、投資家とのマッチングなどの支援をおこなっています。2つ目は、最初期のフェイズから次のフェイズに移っている起業家への支援です。彼らの事業化に向けた具体的な課題を解決していくため、顧問として加わり、事業計画書や投資に関わる業務を並走しておこなっています。そして、3つ目は、大手企業への新事業創出支援や人材育成をおこなっています。

起業家支援を始めたきっかけはなんでしょうか。

(山口氏)自分の経験からです。自分は多くの失敗を繰り返し、遠回りをしながらも、なんとか走り切って事業を軌道に乗せることができました。一方で、そうした経験を通して気づいたんですが、事業の過程でつまずくポイントって、ほとんどの企業が一緒なんです。それならば、自分のこの経験やノウハウを次の起業家に提供していくことで、役に立つことができるんじゃないかと。起業に向けて走っている人がバテないように、給水所で水を渡す役割を誰かがやらなきゃいけないだろうと思い、いまの取り組みを始めました。

「想い」×「アイデア」が「テーマ」となる

山口さんの著書「0 to 100 会社を育てる戦略地図(ポプラ社)」のなかで、0以前の起業前夜を“ゼロマエ”と呼び、その重要性を語っていますが、そこに着目した理由を教えてください。

山口さんの著書「0 to 100 会社を育てる戦略地図(ポプラ社)」のなかで、0以前の起業前夜を“ゼロマエ”と呼び、その重要性を語っていますが、そこに着目した理由を教えてください。

(山口氏)ビジネスって、ビジネスプランとビジネスモデルを大事にして物事を組み立てがちなんですが、それだけではないと思っています。確かに、それらのことが建設的に書かれているペーパーは理に適っているように見えますが、本当に必要なのは、周りを巻き込む「共感」が得られているかということ。つまりゼロマエでは、この周りに共感される「テーマ」を創っていくことが重要で、それがこれからの事業の目的になっていくことを伝えたかったんです。

周りに共感される「テーマ」を創るには、どうしたら良いのでしょうか。

周りに共感される「テーマ」を創るには、どうしたら良いのでしょうか。

(山口氏)原体験に基づく「想い」に「アイデア」を掛け合わせていくことです。最近のビジネスコンテストでは「アイデア」だけが増長され、評価される傾向があります。確かにアイデアの競い合いはショーとしては面白いけど、これから事業をおこなっていくうえでの肝になるかといえば、それだけで足りません。そこには自らの「想い」が必要で、その「想い」に「アイデア」というツールを掛け合わせ、周りの共感を得ることで、一人称の自らの「想い」を二人称、三人称に昇華していく、そうして「テーマ」が創られていきます。

「テーマ」への昇華のプロセスにおいて大事なこととはなんでしょうか。

(山口氏)色々ありますが、まずは人が体験できる状態にすることですね。最初の「アイデア」を実際に人に試してもらうと、理想としていたイメージと違うことが多くあります。その違いに気づくことが「テーマ」への昇華プロセスとなっていきます。違ったから諦めるのではなく、違いに気づいて、改良改善を重ねる。この繰り返ししかありません。

また、体験してもらうのは消費者だけでなく、そのビジネスに関連するステークホルダーにも体験してもらうことを忘れてはいけません。ビジネスの構築においては、関係企業との利益のシェアやオペレーションの課題など、実際に行動を起こしてみないとわからない落とし穴が多くあります。そのため、早くから事業に関わるステークホルダーにも体験してもらいフィードバックをもらうことは重要です。自分が関与してきた事業も、ステークホルダーとの協業のプロセスを通して、ビジネスに磨きかかっていくことが多くありました。

勝つために必要な「自然体」の力

そうした自分の経験から成るノウハウを伝え、多くの起業家を支援している山口さんですが、成功する起業家たちに共通することってありますか。

(山口氏)成功する共通項ではないですが、自分が見てきたなかで「最後は絶対に勝つんだろうな」と思わせる人たちの共通項はありますね。

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