EVENT REPORT

Apr 2018

「地域」と「デザイン」の関係

地域のデザイナーがやっている10のこと

地域のデザイナーがやっている10のこと

地域のデザイナーがやっている10のこと

地域のデザイナーがやっている10のこと

イベントでは、「地域のデザイナーがやっている10のこと~一次産業編~」と題し、地域とデザイナーの関係を佐藤さんは説明してくれた。

①まずはお茶を飲む
「現場に入って最初にやることは、そこで働く人たちとお茶を飲みます。お茶といってもカフェなんかではなく、畑や港でお茶を飲みます。ときどき、農家のお母さんが手作りのパウンドケーキを出してくれたり、真夏に常温のサイダーを出してくたりと(笑)。お茶を飲みながら生まれる何気ない世間話から日常をキャッチアップしていきます」。

②一緒にお昼を食べる
「さぁ、お茶を飲んで仲良くなったぞということで、いきなり仕事に入るかというと入りません。というか、なりませんね(笑)。お茶を飲んだ次は食事です。一緒にお昼を食べて、さらに関係性を構築していきます」。

③現場に行く
「そうして意気投合したら、ようやくここで現場を見に行きます。ここでいう現場とは、漁船に同乗させていただいたり、畑や農園にいったりします。つまりは、行動観察です」。

④酒を飲む
「さぁ、いよいよデザインだ。というわけにはいかなく。なにをするかというと、酒を飲みます。これがすごい重要。地域の人たちは普段は自分の言葉でなかなか語ってくれないんですね。そこで、語れる場づくりということで飲み会をセッティングします」。

⑤仕事を手伝う
「酒を飲みながら語り合ってもまだ十分でありません。なにが足りないかという、彼らの仕事の体感です。自分たちも仕事を手伝い苦労を体感します。気仙沼のおばあちゃんたちと牡蠣をひたすら剝いたり、冬に真水からトマトを取り出しヘタを取る作業をしたりと。手伝える仕事は積極的に手伝います。そうした体感は、人柄やその人が生み出すモノの価値を知ることになります」。

⑥近くを探索してみる
「人となりがわかったら、ここからが勝負。お茶を飲んだり、酒を飲んだり、仕事を手伝ったりすると、『この人たちのためになにかしなきゃ』と感情移入が強くなってしまうんです。それを解放するために最適な手法が、その人たちが住む場所を探索します。つつじの山を歩いてみたり、まちの看板から昔の活気を妄想したり。探索を通じて地域の文脈が少しずつ見えてくるんです。解放のなかで、僕らの妄想といままでの地域の人とのコミュニケーションをとっていた時間がリンクしてくるんです」。

⑦みんなで酒を飲む
「またかと思いますが酒を飲みます(笑)。探索して、やりたいことの焦点があたっていた後にお酒の場をつくるということはすごく大事。多くのインプットを経たこの段階で、お酒を飲み交わすことで、ようやく“本質”に近づいてくるんです。できれば、ここでは仕事の依頼者とだけでなく、その地域に関係する方々に参加してもらえると、なお良いですね」。

⑧デザインを考えてみる
「ここにきて、ようやくデザインを考えてみます。ただ、毎回、ここで壁に当たります。“この人たちに良いデザインってなんなのか”と悩んでしまうんです。その悩みの解決が、自分のテクニックで対応できない場合もあります。その場合どうするかというと、現場の人に創ってもらうんです。以前、東北の漁師に『たこ』という文字を書いてもらったら、『た“ご”』と書いたんですね。“東北では『たこ』のことを『た“ご”』っつうんだ”と。これを平気で言う人たちの面白さをデザインにするには、僕らが余計な手を付けることをしないというデザインをした方がいいときだってあります」。

⑨大宴会をする
「デザインができたら、なにをするかというと、もちろん飲みます(笑)。完成したことを共有する場は大事。地域の関係者を呼んで、お披露目を兼ねた大宴会をおこないます」。

⑩一緒に販売に行く
「デザインをして終わりではありません。一緒に販売に行きます。販売の現場から“どういった売り方をしているのか”を見ることで、デザインがどう使われているかを知ることができます。その体感はお客さんとの距離をさらに近づけるとともに、改めて、地域においてのデザインの役割を考える場となり、次につながっていきます」。

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「地域」と「デザイン」の関係

佐藤 哲也

ヘルベチカデザイン株式会社 代表取締役。福島県郡山市を拠点に、ただモノを作るだけでなく、ストーリーをデザインして行くデザイン事務所「ヘルベチカデザイン」代表。6次化商品開発や地域ブランディングなど実績多数。日本財団HEROs AWARD2017受賞。JAGDA/ 日本デザイナーズ協会会員。
ヘルベチカデザイン株式会社

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