EVENT REPORT

Apr 2017

「飼い主のいない猫」を知る

持続可能な「地域猫活動」を目指す

持続可能な「地域猫活動」を目指す

持続可能な「地域猫活動」を目指す

「地域猫活動」の主な活動は以下の3つに分けられる。

①TNR(Trap Neuter Return)
“猫を捕獲して(Trap)、不妊手術をして(Neuter)、元の場所に戻す(Return)”という活動。TNRは、適正な管理で猫の数を徐々に減らし、猫による被害を減らしていくことが目的であり、猫の保護が目的ではない。

②マナーを守ったエサやり
地域住民に理解を得た場所で、決まった時間に猫にエサをあげ、食べ終わったらきれいに片づけるまでの活動。

③トイレの設置
猫の糞尿被害を減らすための猫用トイレを設置し、清掃する活動。

しかし、こうした活動をおこなったからといって問題はすぐに解決するものではない。問題解決のためには、ボランティアだけが負荷を抱えようとせずに、地域全体が問題を知り、解決に取り組んでいける持続的な活動が必要だという。

ねりまねこでは、一人でも多くの人に「地域猫活動」を知ってもらい、理解者を増やすために、広報・啓発活動も積極的におこなっている。ねりまねこが運営するブログ「ねりまねこ・地域猫」では毎日記事を更新し続けており、いまでは月間50万PVを誇る人気ブログへと成長した。

こうしたねりまねこの活動は、着実に実を結び、これまでに「TNR 800頭、保護・譲渡250頭」もの成果を生んでいる。

現在、小池都知事が「2020年までにペット殺処分ゼロ」の目標を掲げるなど、ペット問題解決に向けた地域の活動は注目されはじめている。しかし、その一方で、高齢者が入院や介護施設に入りペットの面倒が見られなくなってしまったり、ペットの異常繁殖によって飼育ができなくなる多頭飼育崩壊といった、様々な問題も表面化していきている。

「こうした問題をゼロにしていくのは難しいことだと思います。ただ、難しいからといって、面倒なことはやりたくない、誰かがやればいいとみんなが思っていたら、それは誰もやらないことになります。住民・ボランティア・行政・事業者、それぞれができることで協力しあえば、必ず解決に向かうはずです。そのために、私たちはこれからも、こうして自分の言葉で伝えていくことを続けていきたいと思っています。なぜなら、情熱は人を動かし、自分を取り巻く小さな世界を変えることができるということを、いままでの活動で確信してきたからです」。


イベントはその後、亀山さん夫妻と参加者とのワークショップがおこなわれ、大盛況のうちに終了した。参加者からは「自分も今回のイベントで知った『地域猫活動』のことを人に伝えていこうと思った」、「自分の地元でおこなっている『地域猫活動』のことを調べてみたくなった」、「最近、野良猫が少なくなったと感じていたが、その背景には、こうしたボランティアの方々の活動があったことを知ることができて良かった」などの感想が多数寄せられた。


<Apr.2017 小出 伸作(WAO事務局)>

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「飼い主のいない猫」を知る

NPO法人ねりまねこ

理事長 亀山知弘、副理事長 亀山嘉代。
東京都動物愛護推進員。練馬区地域猫推進ボランティア。練馬区と協働で、飼い主のいない猫対策を進める公認ボランティア。月間50万アクセスの人気ブログ「ねりまねこ・地域猫」や、講演会で猫問題の解決に向けて情報発信を行う。
ねりまねこオフィシャルブログ「ねりまねこ・地域猫」http://ameblo.jp/nerimaneko/

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