~ビジネスが未来の社会に与える影響をカードゲームで体感~
持続可能なビジネスの在り方を考える
17の持続可能な開発目標(SDGs)とは
2015年9月、ニューヨーク国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」で、150を超える加盟国によって「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。アジェンダには、「人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標」が掲げられている。この17の目標と169のターゲットが、「Sustainable Development Goals /持続可能な開発目標」、通称「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」である。
SDGsは、難しそうで、高尚なものに感じてしまう一面があるが、そのギャップを埋め、むしろ楽しみながら世界観を体感できる方法がある。それが、一般社団法人イマココラボが開発したカードゲーム「2030SDGs」である。
「『2030SDGs』は、知識を得るというより体験するものです。体験から、この世界観、さらにはその先のビジネスや社会がつくれたらと思います。まずは楽しんで、ゲームを体験してみてください」という稲村さんと村中さんの言葉から、参加者はチームに分かれてゲームを開始した。
前半と後半合わせて約30分間のゲームは大いに盛り上がり、参加者はみんなSDGsの世界に没頭していった。その中で様々な気付きがあり、ゲーム後の参加者同士の振り返りでも、なかなか会話は途切れなかった。
SDGsの本質は「風が吹けば桶屋が儲かる」
「『風が吹けば桶屋が儲かる』という言葉が、SDGsの本質的なキーワードです」と、村中さんはいう。
その具体的な例として、『スナック菓子が地球温暖化につながる』という話をしてくれた。
安いスナック菓子は、安いヤシ油が使われているケースが多い。安いヤシ油を作るためには大きなヤシ農園が必要で、大きなヤシ農園を作るためにはジャングルを切り開く必要がある。ジャングルがどんどん切り開かれていくと温室効果ガスが増え、それが気候変動や生態系に影響を及ぼす。つまり、私たちが普段食べている安いスナック菓子が、地球温暖化に影響を及ぼしている可能性があるのだという。
「安い商品の存在や、森が切り開かれている状況などには、必ずその原因となる背景があります」と村中さんは説明してくれた。
「世界はつながっている」+「私も起点」
例えば、発展途上国の貧困地域に学校を作ったとする。しかし、子どもたちは学校に来ない。それはなぜか。貧しいために働かなければならないから。ではなぜ学校に行かずに働き続けても彼らは豊かにならないのか。それは、安い商品を私たち先進国の人々が製造し、購入しているから。このような消費形態が世界中に存在している。
「SDGsの17の目標は、全てが連立方程式のようになっています」と村中さん話す。
「SDGsの本質の一つをまとめると、『世界はつながっている』ということです。そして、つながっているということは、『私たちも起点』です。そして、企業活動も起点です。企業活動は様々な世界の影響を受けながら、同時に様々な世界に影響を与えています。このような視点を持つことが、世界の現状を見るためには必要です」。
SDGsとは、世界の状況を「見える化」し、「共有」することであるという。私たちが世界の状況を知ることによって、私たちの行動が変わる。これがSDGsの意義となる。
今回実施したカードゲーム「2030SDGs」は、まさに、この「見える化」と「共有」を体感することができるのだ。
~ビジネスが未来の社会に与える影響をカードゲームで体感~
持続可能なビジネスの在り方を考える
稲村 健夫
一般社団法人イマココラボ代表理事/コンセプトデザイナー。
1999年からベンチャー企業の創業や、海外現地法人の立ち上げなどビジネスの第一線で活躍する。2012年取締役副社長兼COOとして株式会社ドアーズの創業に参画し、同社の海外研修プログラムが「日本の人事部 HRアワード」でプロフェッショナル部門の最優秀賞受賞を受賞するなど、先進的な人材開発手法の開発に貢献した。20代からずっと関心のあった社会システムの在り方にこそ、ゲーム×ポジティブアプローチが機能すると考えて、カードゲーム「2030SDGs」を共同開発。2016年一般社団法人イマココラボを設立。
村中 剛志
一般社団法人イマココラボファウンダー/真理の探究者。
大学卒業後、日本アイ・ビー・エムに 入社。金融系ITエンジニア、役員補佐を経て、IBMビジネスコンサルティングサービスに参画し、翌年年間最優秀賞を受賞。2009年から中国上海で1,000人の中国人をリーダーとして率いる。その後新たなマネジメント、経営、社会を創造する可能性を求めて、2013年に合同会社CCCを設立。企業の経営層やマネージャー向けに意識変容を促すリーダーシップ育成などを行う。2016年、仲間と共に一般社団法人イマココラボを設立。著書『「先読み力」で人を動かす』(2008年出版)は、5万部を超えるベストセラー。韓国、台湾でも出版される。
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