EVENT REPORT

May 2018

「一冊の本を売る本屋」ができるまで

「本のある風景」の価値

森岡さんのトーク終了後、会場から様々な感想と質問が寄せられた。そのなか、 “紙の本が減っていく、いまの状況をどう思っているか”との会場からの問いに森岡さんはこう答えた。

「物ごとの悪い面に目を向ければ、確かに書店の数や紙の本の売れ行きは減少しています。ただ、物ごとの悪い面ばかりでなく、良い面に目を向けることも重要かと思うんですよね。日本の書店数や出版数は諸外国と比較すると多く、豊かな環境にあります。海外の名だたる企業が日本を書店先進国として視察に訪れたりするほど。書店が地域のコミュニティの核となって、朗読会やワークショップをおこなっている地域もあり、そこには遠方からお客さんが来ることだってあります。私はそういった良い面を見て、伸ばしていくことも必要なんじゃないかと思うんです」

そして、森岡さんは続けて本の可能性についても話してくれた。

「本は電子メディアに置き換えられてしまうので紙の本に価値は無いのではという人はいます。百歩譲って、その意見を受け止めたとしても、私は『本のある風景』には価値があると確信しています。そこに紙の本や書店の可能性があると思っているんです。私も今後、そういった可能性を書店に置き換えて、いろんなことに取り組んでいきたいと思っています」。

イベントでは森岡さんの登壇後、昨年末に森岡書店銀座店で開催した、WAOとアートディレクターの成田久氏のコラボレーション企画「成田氏ププププレゼン力展」の様子を紹介し、イベントは大盛況のうちに終了した。




<May.2018 小出 伸作(WAO事務局)>

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「一冊の本を売る本屋」ができるまで

森岡 督行

森岡書店 店主/ブックディレクター。1998年に神田神保町の一誠堂書店に入社。2006年に茅場町の古いビルにて「森岡書店」として独立。2015年5月5日には銀座に「森岡書店 銀座店」をオープン。著書に『写真集 誰かに贈りたくなる108冊』(平凡社)、『BOOKS ON JAPAN 1931-1972 日本の対外宣伝グラフ誌』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『荒野の古本屋』(晶文社)など多数。

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