EVENT REPORT

May 2018

脳科学で解く 子どもの自己肯定感をはぐくむ子育て

子どもの発達段階の理解不足から、お子さんのことをわがままと感じてしまい、怒ってしまうことに悩む親も多いのではないだろうか。

今回のWAOでは、脳科学を活かして幼児から大人まで、一人一人の個性に合わせた学習方法やアンガーマネジメントなどを実施している早稲田大学教授の本田恵子先生をお招きして、「子どもの心をはぐくむ」をテーマに子どもの個性を知り、関わり方の視点を考えるイベントを開催した。

子どもの「8つの脳力」を理解する

子どもの「8つの脳力」を理解する

子どもの「8つの脳力」を理解する

イベント冒頭、本田先生はハーバード大学大学院教授のハワード・ガードナーが提唱したMI(マルティプルインテリジェンス)理論を説明してくれた。MI理論とは、人間の脳の働きは8つ(「言語・語学」「論理・数学」「視覚・空間」「身体・運動」「音楽・リズム」「内省」「対人」「博物学」」に分けられ、それぞれの知能がバランスよく備わっていることが大切であるという考え方である。

じっと座り込みながら花を見ている子どもは、その脳内でストーリーや考察を深める「内省」の脳力が強く、「身体・運動」が優れている子どもは体を動かした方が脳が活性化していく。このように8つの知能の発達度合は人によって異なるため、「子どもの8つの知能がどういう方向にあるか親が把握することが重要」なのだそう。

「例えば、外から帰ってきた子どもの手が汚れていたとき、怒ってはいけません。まずは理由を聞きましょう。もしかしたら公園でアリをずっと観察していたかもしれません。親は、そういった行動から子どもの個性や脳力に気づくことが大事。好きなことや得意を伸ばすことで自信をつけさせ、苦手なことにチャレンジする気持ちを育てていきます」。

そして、子どもの好きや得意を伸ばそうとして、型にはめてはいけないと本田先生は話す。

「型にはめるためのルールを学ぶと、確かに物事が上手に進んでいきます。しかし、一方でルールが存在しないとなにもできなくなってしまう恐れもあります。型も大事ではありますが、その前に、自身で状況判断するための材料を集め、さまざまなパターンで考えることが必要。これからの多様化する時代にはこうした脳力は重要となってきます」。

子どもをはぐくむ「達成感」と「安心感」

子どもが自分の好きなことや得意に取り組むようになるには、 “幸せホルモン”や“愛情ホルモン”と呼ばれる「オキシトシン」というホルモンが影響していると本田先生は教えてくれた。オキシトシンは、お父さんと疲れるまで遊んだり、お母さんと料理を作ったりなど、こうした触れ合いのなかで分泌されていく。このオキシトシンが増えていくことによって、子どもは達成感を感じ、いろんなことにチャレンジするようになるというのだ。

またオキシトシンと同時に、脳内で働く神経伝達物質「セロトニン」を増やすことも重要だと本田先生は話す。子どもは先の見通しが立たないと不安になる。そして、その不安はセロトニンを減らしてしまい、最悪の場合は鬱になってしまうというのだ。“子どもの遊びに付き合いたいが全部は無理”と悩む親は遊べる時間を見える化し、子どもに示してあげることで、子どもに安心感を与え、不安を取り除いてあげることができるという。

そして、この達成感と安心感をはぐくむことがアンガーマネジメントの第一歩になるというのだ。

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脳科学で解く 子どもの自己肯定感をはぐくむ子育て

本田 恵子

早稲田大学教育・総合科学学術院教授。脳科学を生かして幼児から大人まで、一人一人の個性に合わせた学習方法やソーシャルスキル教育、アンガーマネジメントなどを実施している。米コロンビア大学院でカウンセリング心理学博士号を取得。著書に絵本『いまじん』『いまじん2』『ぱんだえほん』(梧桐書院)をはじめ、日能研共著『脳科学を活かした授業をつくる』(みくに出版)がある。

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