EVENT REPORT

Jul 2017

~ビジネスが未来の社会に与える影響をカードゲームで体感~
持続可能なビジネスの在り方を考える

2015年の国連サミットで、17の持続可能な開発目標(SDGs)が採択された。これは、全人類の経済的な豊かさと地球環境保全を両立する社会を目指した国際社会の共通目標である。
そこで「WAO」では、持続可能なビジネスの在り方を考えるため、SDGsの世界を体感するカードゲーム「2030SDGs」を開発した、一般社団法人イマココラボの稲村健夫さんと村中剛志さんを迎え、イベントを開催した。

17の持続可能な開発目標(SDGs)とは

17の持続可能な開発目標(SDGs)とは

17の持続可能な開発目標(SDGs)とは

2015年9月、ニューヨーク国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」で、150を超える加盟国によって「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。アジェンダには、「人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標」が掲げられている。この17の目標と169のターゲットが、「Sustainable Development Goals /持続可能な開発目標」、通称「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」である。

SDGsは、難しそうで、高尚なものに感じてしまう一面があるが、そのギャップを埋め、むしろ楽しみながら世界観を体感できる方法がある。それが、一般社団法人イマココラボが開発したカードゲーム「2030SDGs」である。

「『2030SDGs』は、知識を得るというより体験するものです。体験から、この世界観、さらにはその先のビジネスや社会がつくれたらと思います。まずは楽しんで、ゲームを体験してみてください」という稲村さんと村中さんの言葉から、参加者はチームに分かれてゲームを開始した。

前半と後半合わせて約30分間のゲームは大いに盛り上がり、参加者はみんなSDGsの世界に没頭していった。その中で様々な気付きがあり、ゲーム後の参加者同士の振り返りでも、なかなか会話は途切れなかった。

SDGsの本質は「風が吹けば桶屋が儲かる」

SDGsの本質は「風が吹けば桶屋が儲かる」

SDGsの本質は「風が吹けば桶屋が儲かる」

「『風が吹けば桶屋が儲かる』という言葉が、SDGsの本質的なキーワードです」と、村中さんはいう。

その具体的な例として、『スナック菓子が地球温暖化につながる』という話をしてくれた。

安いスナック菓子は、安いヤシ油が使われているケースが多い。安いヤシ油を作るためには大きなヤシ農園が必要で、大きなヤシ農園を作るためにはジャングルを切り開く必要がある。ジャングルがどんどん切り開かれていくと温室効果ガスが増え、それが気候変動や生態系に影響を及ぼす。つまり、私たちが普段食べている安いスナック菓子が、地球温暖化に影響を及ぼしている可能性があるのだという。

「安い商品の存在や、森が切り開かれている状況などには、必ずその原因となる背景があります」と村中さんは説明してくれた。

「世界はつながっている」+「私も起点」

例えば、発展途上国の貧困地域に学校を作ったとする。しかし、子どもたちは学校に来ない。それはなぜか。貧しいために働かなければならないから。ではなぜ学校に行かずに働き続けても彼らは豊かにならないのか。それは、安い商品を私たち先進国の人々が製造し、購入しているから。このような消費形態が世界中に存在している。

「SDGsの17の目標は、全てが連立方程式のようになっています」と村中さん話す。

「SDGsの本質の一つをまとめると、『世界はつながっている』ということです。そして、つながっているということは、『私たちも起点』です。そして、企業活動も起点です。企業活動は様々な世界の影響を受けながら、同時に様々な世界に影響を与えています。このような視点を持つことが、世界の現状を見るためには必要です」。

SDGsとは、世界の状況を「見える化」し、「共有」することであるという。私たちが世界の状況を知ることによって、私たちの行動が変わる。これがSDGsの意義となる。

今回実施したカードゲーム「2030SDGs」は、まさに、この「見える化」と「共有」を体感することができるのだ。

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~ビジネスが未来の社会に与える影響をカードゲームで体感~
持続可能なビジネスの在り方を考える

稲村 健夫

一般社団法人イマココラボ代表理事/コンセプトデザイナー。
1999年からベンチャー企業の創業や、海外現地法人の立ち上げなどビジネスの第一線で活躍する。2012年取締役副社長兼COOとして株式会社ドアーズの創業に参画し、同社の海外研修プログラムが「日本の人事部 HRアワード」でプロフェッショナル部門の最優秀賞受賞を受賞するなど、先進的な人材開発手法の開発に貢献した。20代からずっと関心のあった社会システムの在り方にこそ、ゲーム×ポジティブアプローチが機能すると考えて、カードゲーム「2030SDGs」を共同開発。2016年一般社団法人イマココラボを設立。

村中 剛志

一般社団法人イマココラボファウンダー/真理の探究者。
大学卒業後、日本アイ・ビー・エムに 入社。金融系ITエンジニア、役員補佐を経て、IBMビジネスコンサルティングサービスに参画し、翌年年間最優秀賞を受賞。2009年から中国上海で1,000人の中国人をリーダーとして率いる。その後新たなマネジメント、経営、社会を創造する可能性を求めて、2013年に合同会社CCCを設立。企業の経営層やマネージャー向けに意識変容を促すリーダーシップ育成などを行う。2016年、仲間と共に一般社団法人イマココラボを設立。著書『「先読み力」で人を動かす』(2008年出版)は、5万部を超えるベストセラー。韓国、台湾でも出版される。

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