EVENT REPORT

Jul 2017

国・文化を知り、人を知る。
新興国マーケット戦略 ~インド・タイ・インドネシア編~

タイ・インドネシア・インドを知る

今回のイベントでは、アジア新興国のなかでも「タイ」・「インドネシア」・「インド」の3カ国の事例を中心に語っていただいた。海外展開においては、参入国や都市の市場状況を見ながらビジネス戦略を立てることが重要なのはもちろんのこと、その前に、その国の文化や人を知ることが必要だと谷村さんはいう。

谷村さんは、自身の経験をもとに、3カ国の文化や規制、人柄などの特徴を紹介してくれた。

1、タイ
1970年代から80年代にかけて多くの日系企業が、製造拠点としてタイに進出していった。しかし現在は、タイの立ち位置が変わってきている。カンボジア、ラオス、ミャンマー、マレーシアといった、タイの周辺諸国進出のためのパートナー国としての流れが、活発化されてきているというのだ。

また、タイでは、外資比率が50%を超える企業は、外国人事業法により43業種への参入が禁止・規制される。これがまさに、タイの外資規制が厳しいといわれる所以である。しかし、BOI(Board of Investment:タイ投資委員会)と呼ばれる海外からの投資優遇制度を取得した企業は優遇される処置もある。BOIを取るのは非常に面倒ではあるが、新規参入の際には必要となってくるという。外資に対しては厳しく、国内企業の成長のために支援をおこなう。これが現在のタイが目指している姿である。

人柄については、温和で平和を好む民族であり、仏教の信仰心がとても厚く、その教えを守っていることからも、王族に対する尊敬の念も強い。一方で、階級意識が高いところがあるのもタイ人の特徴であると谷村さんは教えてくれた。


2、インドネシア
東西の距離が北米よりも長いインドネシア。2億人以上の人口を有し、東南アジアの潜在市場として注目されている。しかし、その人口は1万以上の島々に渡って分散しているため、マーケットも国別ではなく、都市別の戦略を立てるべきだと谷村さん話す。

インドネシア参入においては、規制が漠然としているため、わかりにくいという難しさがある。また、インドネシアは交通渋滞が多いため、バイクタクシーが多く、いまや、バイクタクシーはITを駆使し、Uberのような配車サービスや、顧客の買い物自体をおこなうデリバリーサービスが発展をしているという。

陽気で明るく、フレンドリーなインドネシア人は、家族を非常に大切にする。買い物については、店頭広告などのプロモーションをチェックし、コストパフォーマンスを重視した商品を購入し、贅沢品に対しては、具体的なメリットを求める傾向があるという。


3、インド
アジアの最大マーケットであり、欧州・中東・アフリカへのハブといわれているインド。タイと立ち位置が似ており、隣接している周辺諸国に対して、インドを活用して攻める企業も多数ある。しかし、地域によって貧富の差が大きく、東北地域側は、いまだ物流環境が悪く、ビジネスをおこなうには非常に厳しい環境である。

インドへの直接投資案件は、賭博事業やニディ会社(互助金融会社)、不動産業または農家の建設などといったネガティブ・リストに該当しなければ、外資出資比率100%までが自動認可されることもあり、他の新興国と比べると、あらゆる企業に対してオープンな国といえる。

頑固でプライドが高い傾向にあるのがインド人の特徴と話す谷村さん。また、世界でも特に愛国心が強い国としても有名。インドは階級社会であるため上の立場が強く、ビジネスにおいてもトップダウンで決まることが多いのが特徴であるという。

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国・文化を知り、人を知る。
新興国マーケット戦略 ~インド・タイ・インドネシア編~

谷村 真

株式会社gr.a.m 代表取締役兼CEO。関西学院大学卒。2002年から13年に渡り海外、特に新興国へ進出する日系企業及び既に進出している日系企業を対象に調査・コンサル業務を提供。産業調査分野において1000社以上の調査・コンサルプロジェクトに携わり、グローバルビジネスにおける第一線で活躍。自治体・各種団体・企業セミナー等実績多数。

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