EVENT REPORT

Jul 2017

科学者集団リバネスのイノベーションを起こすしくみ「科学を知り、ビジネスを創る方法」

ミドリムシを使った健康食品やLED照明の植物工場など、科学技術を活かした新たなビジネスが次々と生まれている。

そうしたなか、科学技術や研究者たちと、いかにイノベーションを創りあげていくかを考えるため、サイエンスベンチャーの草分けである株式会社リバネス代表取締役社長COOの高橋修一郎さんをお招きし、イベントを開催した。

研究者としての知識を社会の中で役立てたい

研究者としての知識を社会の中で役立てたい

植物病理学や分子生物学の研究者として教鞭をとっていた高橋さんが、起業を志したきっかけは、自身の研究者としての経験からだった。

「研究者として活動していたころ、研究という範囲を超えて、もっと社会の役に立ちたいという想いがありました。そこで、自分の専門性を活かし、植物保護師という国家資格の立ち上げや、植物病の簡易診断キットの開発をおこなってきました。こうした経験から、社会で役立つ技術や情熱を持った研究者が活躍できる枠組みをつくりたいと思ったのが、リバネス立ち上げのきっかけです」。

そして2002年、当時、修士2年の高橋さんは、“自分たちの専門性を活かして、社会の中で価値を発揮したい”という想いをもった若手研究者の仲間たちとともに、リバネスを設立した。

新規事業を成功に導く重要なキー「Q」と「P」

新規事業を成功に導く重要なキー「Q」と「P」

新規事業を成功に導く重要なキー「Q」と「P」

リバネス設立時の事業は、子どもたちに科学の面白さを伝えていく科学教育活動「出前実験教室」であった。当時、理科と実社会とのつながりが見えないことによって“理科離れ”している子どもたちが増加していることに課題を感じていたことから、「出前実験教室」を開始したという。

次世代育成という目的で始めた「出前実験教室」は、新たな価値も生み出した。講師役となる若手研究者のコミュニケーションスキルが向上したという。

「子どもたちの反応はストレートです。出前授業がつまらないと、教室で走り回ったりします。一方で、きちんと伝わると身を乗り出してきます。このような体験をすることで、若手研究者たちが伝え方を意識するようになりました」。

しかし、予算の限られている学校を対象としていた「出前実験教室」のビジネスは、順風満帆にはいかなかったと高橋さんは話す。

開始1年で事業資金がほぼ底を尽きた高橋さんたちは、“このまま科学教育事業を続けるか”、“お金を稼ぐための事業転換をするか”を迫られることになる。

そこで仲間たちと改めて話し合ったのが、現在のリバネスの事業創出における礎となる「Q(Question:課題)」と「P(Passion:情熱)」といった“自分の想いはどこにあるか”という考え方であった。

「この時に『Q』と『P』を考え、絞り出した答えは、“やはり科学教育をおこなっていきたい”というものでした。この想いを仲間たちと再認識し、サービスの対象を模索していった結果、企業の人材育成やCSR活動などに展開できることに気がつきました」。

現在、科学教育事業は、リバネスの事業の一つの柱となるまでに成長している。

「想いがあって始めた科学教育事業でしたが、最初は上手くいきませんでした。それでも“想い”にこだわって、見方を変え、手法を変えていったら、道が開けてきました。この経験は、自分にとって強烈な原体験になっています」。

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科学者集団リバネスのイノベーションを起こすしくみ「科学を知り、ビジネスを創る方法」

高橋 修一郎

株式会社リバネス代表取締役社長COO。東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了 博士(生命科学)。
設立時からリバネスに参画。大学院修了後は東京大学教員として研究活動を続ける一方でリバネスの研究所を立ち上げ、研究開発事業の基盤を構築した。さらに独自の研究助成「リバネス研究費」や未活用研究アイデアのデータベース「L-RAD」のビジネスモデルを考案し、産業界・アカデミア・教育界を巻き込んだオープンイノベーション・プロジェクトを数多く仕掛ける。2010年より代表取締役に就任。
株式会社リバネスWebサイト https://lne.st/

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