MESSAGE

Feb 2017

‟枠“にはまらない環境がイノベーションを創出する

山口 高弘( GOB Incubation Partners株式会社  代表取締役社長 )

インプットの機会は“余白”にある

ビジネスアイデアの質をあげていくためには、インプットで得られる知識が必要となってくるということですね。

(山口氏)そうです。また、インプットはあらゆる場所でおこなうことが可能です。

ただ、気をつけなければならないのは、日頃の目的に縛られた暮らしのなかでは、新たなインプットは得られません。なぜなら、目的を持った行動には到達するまでの効率性が重視されるため、目的に沿わないことは排除してしまいます。

例えば、いつも訪問する営業先まで30分かかるとします。きっと、大抵の人は30分前に出発して、いつもの道を通って行きますよね。これでは新たな発見が生まれる可能性は低いです。そこで、いつもより10分早めに出て、違う道を通って行く。これは効率的に反していますが、新たなインプットとしては大事なことなんです。その10分という余白にこそインプットの新しい機会があります。

効率的におこなっていくということは余白を削っていくことですが、インプットの新たな機会を手に入れるには、いかに余白を作れるかにあります。

右脳と左脳の作業の繰り返しがイノベーションを生む

そうして生まれたビジネスアイデアを新たな事業へとカタチにしていける人材に求められることを教えてください。

そうして生まれたビジネスアイデアを新たな事業へとカタチにしていける人材に求められることを教えてください。

(山口氏)マインドセットとスキルセットです。

まずは、周りから承認されなければいけないというマインドセットはやめた方がいいですね。

イノベーションを起こす事業にはオリジナリティが必要です。それには携わる人がオリジナルでなければ達成できません。

しかし、オリジナリティ溢れる人は周りから否定される場合も多いかと思います。十人中九人から否定される自分をいかにして承認していけるか。周りからアレルギーをもたれるくらいがちょうどいいんです。そうしたマインドセットへの切り替えが必要です。

もう一つのスキルセットについてですが、先ほどのアイデアのつくり方同様に、幅広い知識とロジカルシンキングのスキルが発達していないと事業は生めません。

ただ、ロジカルというと左脳での作業をイメージしてしまいますが、ロジカルに右脳的な作業をするスキルが必要となっていきます。

ロジカルに右脳的な作業をするスキルとは具体的にはどういったことでしょうか。

(山口氏)「飛び地」を発想していくスキルです。要素と要素を組み合わせるときに、関係のある近い領域で組み合わせようとしますが、そこでのイノベーションの可能性は低いでしょう。無関係に近い領域の組み合わせをする「飛び地」の発想が大事です。

先程お話したQBハウスでは、“高速で人的作業を完結する”という目的に対して、無関係に近い領域である「F1のピット作業」を参考にしました。このアイデアが「飛び地」です。

革新的な散髪屋を創造したとき、どうしても先行的な散髪屋を参考にしていまいます。ただ、同じ領域のサービスを参考にしてもイノベーションは生まれません。

この発想へいかにして飛ばせるか。ここに右脳が必要となり、左脳だけで考えると無関係の領域にはたどり着きにくくなります。

組織が“枠”を外さなければイノベーション人材は生まれない

一方でイノベーション人材を育成していくために組織に求められていることを教えてください。

一方でイノベーション人材を育成していくために組織に求められていることを教えてください。

(山口氏)イノベーション人材とは「枠にはまらない人材」とも言い換えられます。

そう考えると、組織自体が枠にはまっていたらイノベーション人材を育成していくことは難しいでしょう。イノベーションに挑戦していくのであれば、組織自体が枠を外す行動をとることが重要です。

個人の才能は組織の環境によって決まる部分が大きい。つまりは、イノベーションに挑戦していくのであれば、組織が率先して枠を外していくメッセージを発信していくことが大事となってきます。

ADVISE

新規事業創出に向けた山口さんからのアドバイス

“0”と“1”の間の経験を積むことが重要

‟枠“にはまらない環境がイノベーションを創出する
‟枠“にはまらない環境がイノベーションを創出する

山口さんは、最初から数十億もの売上規模を前提とした新規事業創出の取り組みでは、なかなか新事業は生まれにくいと話す。

そのためには、いきなり“0”から“1”に移るのではなく、“0”と“1”の間にある中間地点の経験を積むことが重要であり、そうしてスケーラブルな事業が確立されていくという。

「中間地点をつくるためには、事業開発とサービスまたは製品開発を区別する必要があります。サービスや製品がリリースされた時点では“1”ではありません。“1”は、事業モデルが確立された段階です。“0”と“1”の間には事業モデルの確立に必要な要素が多くあります。課題を発見する段階、アイデアを量産・選択する段階、市場でのスケールを図る段階、スケールした結果蓄積される事業資産を使ってより大きなビジネスを組み立てる段階。このような段階が中間にあります。そのため、この中間地点のそれぞれの段階において沢山の人がトライできる仕組みを構築し、サービスレベルの取り組みを数多く創出していくことが新規事業創出の鍵となってくると考えます」。

<Feb.2017 小出 伸作(WAO事務局)>

1

2

PROFILE

山口 高弘(GOB Incubation Partners株式会社  代表取締役社長)

元プロスポーツ選手、19歳で不動産会社を起業、3年後に事業売却。それ以外にも複数の事業を起業・売却。その後、野村総合研究所に参画しビジネスイノベーション室長就任。
2014年、GOB Incubation Partnersを創業。現在、起業支援インキュベータとして、企業内起業においても多くの事業・サービス開発に携わる。また、GOB Incubation Partnersでは主に若い世代がイノベーションに挑戦するためのマインドセット創り、事業化支援、キャンプ等までも実施している。
内閣府若者雇用戦略協議会委員など政府委員就任歴多数。著書多数。


http://gob-ip.net/

OTHER ARTICLE

このカテゴリの他の記事

社会課題をビジネスで解決する

MESSAGE

社会課題をビジネスで解決する

ユーザーのリアルな反応が創造力を広げてくれる

MESSAGE

ユーザーのリアルな反応が創造力を広げてくれる

ビジネスのトランスフォーメーションを通じて、
世界を変える

MESSAGE

ビジネスのトランスフォーメーションを通じて、 世界を変える